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エンジニア領域におけるキャリアコンサルティングの特徴
公開
2025-02-06
文章量
約1832字
相談料
3,000 円/時
メーカー系システムエンジニアとしてWebアプリケーションの開発に携わり、SES, 自社サービス開発を経て現在は同企業で組織開発・キャリア領域の人事を担当しています。人事ではデータ分析、副業としてプログラミングスクールのメンターやインフラの担当を行っています。
はじめに
本記事は ジンジニアアドベントカレンダーとして note で作成した記事 チームメンバーなど人に関わる方がキャリアコンサルティングを学ぶべき2つの理由 を掘り下げ、エンジニア領域でのキャリアコンサルティングについて記載します。
元の記事では以下のような内容について記載しました。
「中心性としての専門性を高める」キャリア がこの記事の想定読者の一部であるエンジニア職の方がよく目指す方向性ではないかと思います。あるいは開発→プロダクト のように機能を変化させながらやりたいことを実現していきたいというケースもあるでしょう。
このように「自分が辿ってきたキャリア以外にもキャリアがある」ことを認識せずにアドバイスをする、極端な例として「35歳までにはEMにならないとおかしい」というような価値観の押しつけはいうまでもなく害悪だと思います。これらのキャリア理論を学ぶことは、多様化したメンバーのキャリア意向を大きな枠組みとして理解することにつながるはずです。
大まかに「エンジニア職として働く人が考えるキャリア」は以下のようなケースがあるように思います。
現状の自身の担当領域におけるスキルアップを通じて専門化する
「上流工程」と言われる工程に幅を広げる
バックエンドからフロントエンドなど領域の幅を広げる
マネジメントスキルを身につけ、EM/PM などとして、関わる人を通じて成果を上げる
その他働き方としての起業、関わり方としてのコンサルタント、研究職等への職種変更
このような様々な方向性に対し、エンジニア職の方々に関する情報はかなり多くのものが公開されており、近年ではこれまでなかった職種も生まれてきています。(フロントエンドエンジニアという名前が出てきたのが2005年ごろ、ITの領域でのデザインエンジニアという名前は2020年ごろのようです)
情報の取捨選択が得意な職種ではあるものの、キャリア戦略を考えるにあたってはスピードも激しく、転職サービスに登録すればスカウトもくる。周囲との比較もしやすくなっている分、向こう3年位を見据えると「悩み」というよりも「迷い」が出てくるタイミングの多い職種ではないかと思います。
「悩む」と「迷う」と「考える」
書籍「イシューからはじめよ」には「悩む」と「考える」の違いを答えが出るか出ないかという前提 に置いています。エンジニア職は業務の特性上「考える」ことは機会としても多いものの、違いを意識しないで取り組んでしまうといつのまにか悩んでしまうことがあるのかもしれません。
また、「悩む」「考える」ともに勘違いしやすいのが「迷う」ことです。
「AとBどちらが良いのだろうか」という際の多くのケースはだいたいの場合において「迷う」になったまま行ったり来たりしているのです。「考える」プロセスを経る際に、メリット・デメリット(プロコン)をリストアップするものの、そこから基準を明確に決めることができずに「迷う」プロセスに入りがちです。
書籍「キャリアカウンセラーのためのスーパービジョン」では、「不安」「心配」「やっかいな問題」などを、相談者が抱える「悩み」として表現しているが、その原因を自身が肯定し、自尊感情のよりどころとしている自己概念、良しとしているものの見方や考え方が揺らぐ経験 と表現しています。
これらを踏まえると、「なぜ悩むという状況に至ったのか」を整理し、その結果としての自身の価値観等のゆらぎがどのように起こったのか(例えば興味関心と、その選択肢を選んだことによる収入の増加が見込まれるかなどのギャップ、あるいはそこにチャレンジしたときの失敗に対しての恐れなど)という、自身の選択軸がどこにあるか寄り添っていくことで自身が結論に至る支援ということが一つの鍵になってくるのではないかと思います。
終わりに
以上のようにエンジニア職の環境面での特徴として、「迷い」に陥りがちな環境であり、ふとした外部刺激でそのモードに入ってしまうと、考えることやその材料集めがやや得意であるからこそハマってしまうという傾向があるのではないかという仮説について書きました。
他の職種の中にはそもそも選択の幅が比較的狭い「キャリアパス」が限定的な職種もあります。この20年くらいでキャリアの選択肢が広がっていることを良しとして捉え、仕事理解のみならず自己の判断基準を経験を通して見直していくことで主体的な選択ができることをご支援できればと思っております。