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ITエンジニアが個人開発する際の3つの苦労
2024-12-19
約2207字
私はこれまで、ほぼ一人で「Yard」の開発を進めてきました(最近になってサポートしてくれるメンバーが増えてきました)。
開発(バックエンド、フロントエンド、インフラ)、デザイン、マーケティング、営業、事業開発といった幅広い役割をすべて自分で担ってきました。いわゆる「個人開発」と呼ばれる形態です。
スタートアップの世界では、非エンジニアの創業者が事業を立ち上げる際、エンジニアを探して一緒にプロダクトを開発する苦労話をよく耳にします。その点、自分でシステムをある程度作れるというのは、大きなアドバンテージだと実感しています。
しかし、いっぽうで個人開発のような複数の職務を掛け持つことの負担も大きいことも事実です。
今回は、エンジニアとしてのバックグラウンドを活かしてゼロから事業を立ち上げる際に、特に大変だと感じた3つの点をまとめてみたいと思います。
ある程度の経験豊富なエンジニアは、システムを設計・開発する際に
などについて考える癖があります。
私自身、10年以上にわたりメガベンチャーや大手IT企業でエンジニアとして働いてきた経験が、このような思考に影響を与えていると感じています。
これまでのキャリアを振り返ると、幸いなことにPMF(Product Market Fit)を達成し、成長を遂げたプロダクトの開発に携わる機会が多くありました。
その中で、プロダクトが長く使われる中で発生した技術的負債に向き合い、それを解消するために苦労した経験も数多くあります。そのため、プロダクトの初期段階から将来を見据えたシステム設計や開発を行いたいという思いが強くなります。
しかし、現実的には、大半のプロダクトは数年以内にPMFを達成できず消えていくのが実情です。
初期段階で考慮していた「可用性」「拡張性」「保守性」といった観点が、実際にはほとんど意味を持たず終わるケースも少なくありません。
例えば、『起業の科学』では次のように述べられています。
MVPを作り込む時間があるなら、その時間を使って検証作業に力を入れましょう
つまり、MVP (Minimum Viable Product = 実用上最小限の製品) は素早く開発し、顧客からフィードバックを得ることが最も重要だという考え方です。
このように、エンジニアとしての視点と、PMFを目指すための視点には、少なからず矛盾が生じる場面があります。私自身、このバランスをどう取るべきかについて、今も悩み続けているテーマの一つです。
事業計画を立てる際、目標を高く設定すればするほど、自分のタスクの負担が増えるという構造になるため、目標が小さくまとまりがちです。
これはエンジニアマネージャーをしていた時にも、上長からしばしば指摘された点でもあります。
具体的には、チームのミッションや組織設計を考える際に、次のようなフィードバックを受けることがありました。
エンジニアマネージャーとして、自分のチームのミッション達成が難しくなった際、アンチパターンではありますが、プレイングマネージャーとして炎上案件の火消しをしたことも何度かあります。
こうしたことを何度か経験すると、どうしても保守的なマインドになり、ゴール設定が甘くなることがありました。
このような課題に対しては、第三者の視点からToBeについて意見をもらえる環境を作ることが有効だと感じています。
これは経営と執行を分離する考え方に近いかもしれません。
私の場合、クラウドファンディングで賛同者を募っているため、その一部の方々に進捗管理をサポートしてもらう形を取り、客観的な視点を取り入れるようにしています。
「エンジニアはビジネスに疎い」というレッテルを貼られがちだという問題があります。(これは私自身のバイアスも多少含まれているかもしれませんが、、)
実際、私も次のような厳しいフィードバックを受けた経験があります。
こうした指摘は、多くの場合当たっていると感じますし、私自身もビジネス面ではまだまだスキルが足りていないと自覚しています。
最終的には、自分がこのような批判を覆すだけの実績を残せていないことが、こうした意見を受ける最大の要因だと思っています。
個人開発は、今もなお多くのエンジニアにとって憧れのワークスタイルの一つだと思います。
組織のしがらみに縛られることなく、自分のスキルだけでサービスの価値を世の中に届けられる点に、多くのエンジニアが一度は夢を抱いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、その自由を手に入れるためには、多くの苦難を乗り越える必要があるのも事実です。
私自身、その苦難を乗り越え、自分が生み出したサービスを通じて世の中をより良くしていきたいと考えています。
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