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Claude Code Meetup イベントレポート
2025年7月8日、AI駆動開発の新たな地平を切り拓くツールとして、今最も熱い視線を集める「Claude Code」の名を冠した、日本初のミートアップが開催されました。会場となったログラス社のセミナールームは、この新しい「相棒」をいち早く手にした開拓者たちの熱気に満ちあふれていました。
Claude Codeは、単にコードを書く速さを競うツールではありません。それは、私たちの「思考」を拡張し、開発プロセスにおける「不確実性」と戦い、さらには自分自身に合わせて「ハック」していく、新しい開発パートナーです。
本レポートでは、この日繰り広げられた数々のセッションの中から、特にClaude Codeの本質と未来を鮮やかに描き出した4つの物語を厳選。彼らの言葉から、この新しい相棒との「正しい付き合い方」を紐解いていきます。
『Claude Codeを使って不確実性と戦う』
株式会社Algomatic / erukitiさん
イベントの口火を切ったerukiti氏が投げかけたのは、「コーディングは、開発プロセスの一部に過ぎない」という、本質的な問いでした。Claude Codeを単なるコード生成機として捉えるだけでは、その真価を見誤ると彼は語ります。
「確実性が高いものは、いずれAIに置き換えられます。我々人類が取り組むべきは『不確実性』にあるのではないか。事業開発のような、正解のない領域でこそ、Claude Codeは真価を発揮します」 —— erukitiさん
彼が提唱するのは、Claude Codeを**「観測」**のためのツールとして活用することです。
脳内モデリングの強化: 複雑なコードベースをClaude Codeに分析させ、人間が気づかなかった構造や、誤解されやすい箇所を「観測」する。
理想と現実のギャップ分析: 「理想のアーキテクチャ」をまずAIに描かせ、次に「現状のコード」を分析させ、そのギャップを言語化させる。これにより、取り組むべき課題が明確になります。
失敗の観測: あえて曖昧な指示を出し、AIがどのような「失敗」をするかを観測する。これにより、AIの思考のクセを理解し、より良い指示の出し方を学ぶことができます。
erukiti氏のセッションは、Claude Codeが単に答えを出す存在ではなく、**未知の領域を探求し、複雑な問題を解き明かすための「思考の壁打ち相手」**となりうることを示しました。コーディングの先にある、より創造的な領域で戦うための、新しい武器を手に入れたのです。
『実務で使っているClaude Codeの活用事例集』
Ubie株式会社 / 鹿野 壮さん
erukiti氏が示した哲学的なアプローチに対し、Ubieの鹿野氏は、日々の開発現場でClaude Codeがいかに頼れる「相棒」であるかを、ユーモアたっぷりの実例で紹介しました。自らを「タスク丸投げおじさん」と称する彼が披露したのは、開発体験を劇的に向上させる、明日から真似したい具体的なテクニックの数々です。
「子供をあやしながら、キーボードが打てない。そんな時でも、音声入力でタスクを実行できる。Claude Codeは、そんな働き方も可能にしてくれます」 —— 鹿野 壮さん
Hooksでタスク完了を音声通知: 複数のタスクを並列で実行させていると、どれが終わったか分からなくなります。そこで
task:finishフックを使い、タスク完了時に「ブヒー！」というオリジナルの音声（同僚の声）を鳴らすようにカスタマイズ。カスタムスラッシュコマンド: 「フォーマットをかけて、細かい粒度でコミットし、プルリクエストを作成して」といった定型作業を
/prepare_prのようなカスタムコマンドに登録し、一発で実行。音声入力との連携: 高度な音声認識ツール「AquaVoice」を使い、キーボードをほぼ使わずにClaude Codeへ指示出し。
Qiloとの最強タッグ: Amazon Q Developer（通称: Qilo）が対話形式で作成した高品質な仕様書（要件定義、設計書、実装計画）を、そのままClaude Codeに渡して実装させる。**「仕様策定の達人（Qilo）」と「実装の達人（Claude Code）」**の長所を組み合わせることで、質と速度を両立させます。
鹿野氏の発表は、Claude Codeが持つ高い拡張性をフルに活用し、自分だけの最強の開発環境を育て上げていく楽しさと、その絶大な効果を見せつけてくれました。
『Claude Code再入門』
ぬこぬこさん
Claude Codeの熱狂が加速する中で、「もう一度、基本に立ち返ろう」と呼びかけたのが、ぬこぬこ氏のセッションでした。彼の発表は、日々進化するこのツールの全体像を、公式ドキュメントという一次情報から丁寧に読み解く、まさに「再入門」にふさわしい内容でした。
「6月のイベントで話した内容から、この1ヶ月半でまた大きく変わっている。公式ドキュメントもサイレントアップデートでどんどんページが増えています。昔読んだという方も、ぜひもう一度目を通してほしい」 —— ぬこぬこさん
彼が強調したのは、一次情報を追いかけることの重要性です。
changelog.mdを追う: Claude CodeのGitHubリポジトリにあるchangelog.mdには、数日単位で行われるアップデートの詳細が記録されています。新しいフックの追加やキーバインドの変更など、日々の開発に影響する重要な情報を見逃さないために、ここは必見です。公式ドキュメント（
claude.md）を読む: 機能の追加だけでなく、思想やベストプラクティスが詰まった公式ドキュメントは、ツールの能力を最大限に引き出すための最高の教科書です。Anthropic Academy: Anthropic社が提供する学習コース。Claude Code Actionsなど、より高度な機能について体系的に学ぶことができます。
彼のセッションは、魔法のように見えるツールの裏側にある確かな思想と、それを理解するための地道な学習の重要性を、改めて私たちに教えてくれました。新しいツールに熱狂するだけでなく、その本質を冷静に見つめる。コミュニティが成熟していく上で、欠かせない視点です。
『Claude Code SDKの話』
株式会社Scalar / Akihiro Okunoさん
イベントの最後を飾った奥野氏は、Claude Codeをさらに一歩深くハックするための鍵、「Claude Code SDK」の謎を解き明かしました。
「Claude Code SDKと書かれていますが、ドキュメントには『サブプロセスとして実行する』という怪しい文字が…。これ、本当にSDKなのでしょうか？」 —— Akihiro Okunoさん
彼の探求によって明らかになったのは、驚くべき事実でした。TypeScriptやPythonで提供されているClaude Code SDKは、実は内部で皆さんが普段使っているclaudeコマンド（CLI）を呼び出しているだけだったのです。
この発見は、私たちに何を意味するのでしょうか。それは、あらゆるプログラミング言語から、Claude Codeを自由に操作できるということです。SDKが提供されていない言語でも、標準入出力を介してCLIと対話するラッパーを書けば、自作のアプリケーションにClaude Codeの能力を組み込むことができます。
奥野氏の発表は、Claude Codeが単なる対話ツールではなく、他のプログラムから呼び出し可能な、**再利用性の高い「コンポーネント」**としての側面を持つことを示しました。これは、Claude Codeを中心とした、より広大なエコシステムが生まれる可能性を示唆しています。
『思考するパートナー』との対話は、まだ始まったばかり
「Claude Code Meetup Japan #1」は、一つのツールの登場が、いかに私たちの思考や働き方を根底から変えうるかを見せつけました。
この日語られたのは、もはや「AIにどうやってコードを書かせるか」という話ではありません。 不確実な問題を探求するための**「観測者」として（erukiti氏）。 日々の面倒なタスクをこなしてくれる「頼れる相棒」として（鹿野氏）。 その能力を最大限に引き出すために学ぶべき「研究対象」として（ぬこぬこ氏）。 そして、自らの手で拡張し、組み込むことができる「開発プラットフォーム」**として（奥野氏）。
私たちが手にしたのは、単なるコード生成ツールではなく、多面的な顔を持つ、新しい「思考するパートナー」です。このパートナーとの対話は、まだ始まったばかり。これから私たちは、彼と共にどんなコードを書き、どんな未来を創造していくのでしょうか。その無限の可能性に、胸が高鳴る一夜でした。
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