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人が壊れるマネジメント - Forkwell Library #94 レポート
“気づきと学びの場をつくる”Forkwell Library の第94回は、橋本将功さん(パラダイスウェア代表取締役)を迎え、最新著『人が壊れるマネジメント』を深掘りする一夜となりました。参加フォームには「現場を率いる」「これからリードを担う」エンジニアが数多く集まり、チャット欄は共感と質問で終始活発。この記事では、講演と Q&A を中心に振り返ります。
オープニング──数字が物語る課題意識
司会の高さん(Forkwell)が紹介したアンケートによれば、参加者の半数超が「すでに人が壊れる兆候に直面したことがある」 と回答。リアクションボタンは開始早々フル稼働し、「耳が痛い」「上司に見せたい」といった声が連続しました。
基調講演ダイジェスト
1. “人が壊れる”構図はなぜ令和で顕在化したか
橋本さんはキャリア25年で体感した時代の変遷を、次の三層で整理しました。
レイヤ | 平成初期 | 令和現代 |
---|---|---|
労働市場 | 「代わりはいくらでもいる」就職氷河期 | 史上空前の人手不足 |
技術環境 | PC とダイヤルアップ 情報量は限定的 | スマホ+クラウド+生成AI データ爆発 |
投資・文化 | 外注前提/根性論 | 内製志向/合理とリスペクト |
このギャップに組織が追いつけず、“旧来型マネジメントの摩耗” が加速している、と指摘します。
2. アンチパターン50の構成
書籍はタスク→プロジェクト→コミュニケーション→キャリア→制度・文化の五章建て。 例:
第1章 タスク
丸投げで壊れる ─ 指示内容が曖昧/責任境界が不明
第3章 コミュニケーション
皮肉と冷笑で壊れる ─ チームの心理的安全性を下げる無自覚な言動
各項目は「症状」「なぜ起きるか」「回避策」の三段構えで、“地雷マップ”としても“対策リファレンス”としても機能 します。
3. データで読む背景
日本の IT 投資は長期停滞、生産性向上に結びつかず
IT 人材の 72% がベンダ企業所属(米国は逆転現象)
PM・PO クラスの求人倍率は 25 倍超
「外から買う時代は終わり、変革を内製できる人材が引き抜かれる時代」 に組織が適応できていない事実を、統計で裏付けました。
現場で活かす三つのチェックリスト
行動レベル
指示は 目的・制約・背景 をセットで渡す
否定は “事実+提案” で包む
プロジェクトレベル
目標・スコープ・人員を 月次で再認識
リスクレビューを“文書化+共有”して属人化を外す
組織レベル
キャリアラダーと評価基準を“公開情報”に
倫理ガイドラインは経営と現場の対話を経て改訂
橋本さんは「まずは一つ下のレイヤから整えると実効性が高い」とアドバイスしました。
Q&A ハイライト
質問 | 橋本さんの回答エッセンス |
---|---|
すでに壊れたメンバーをどう立て直す? | 原因タスクを外し、キャパシティが戻るまでリスキリング中心に。配置転換と“安全な小勝ち経験”が効果的。 |
高圧的ベテランの扱いは? | 私的フィードバック→チャットの公開化→ルール明文化の順で“可視化による自浄”を仕掛ける。 |
壊れる前に相談が上がらない問題 | 自責文化が根強い。書籍や事例を“第三者の言葉”として置き、組織対話の導火線にする。 |
生成AI をマネジメントに生かすコツ | シビアなメールを GPT にリライトしてもらう。立場の非対称を埋める“感情バッファ”として活用。 |
参加者からは「即明日やる」「自チームで試す」と前向きな反応が相次ぎました。
Forkwell LT & 告知
休憩時間には Forkwell コミュニティ 3 万⼈突破と Library 100 回達成キャンペーンを案内。今後も設計・育成・生成AI など多彩なテーマが続くとのことです。
あとがき:壊れない組織へ踏み出す一歩
講演を通じて際立ったのは、“壊れ”は個人の脆さではなく設計不備の帰結 というメッセージでした。人手不足も AI シフトも待ったなし──だからこそ「人を使い潰す余裕はもうない」。
チェックリストを片手に、自分のタスク・プロジェクト・組織を順に照らしてみてください。気まずさや負荷を可視化し、対話の素材に変える。それが「人が壊れないマネジメント」を現場で芽吹かせる最初の一歩になるはずです。
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