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MCP をサービスに導入した日韓の事例を学ぶ イベントレポート
はじめに
2025 年 6 月 4 日の夜、Findy が主催したオンラインイベント 「MCP をサービスに導入した日韓の事例を学ぶ 〜 Findy と QueryPie のサービス開発の裏側 〜」 が開催されました。 昨年末から一気に注目度が高まった MCP(Multi‑Modal Callable Protocol) を用いたサービス開発。その最新事例を共有するべく、日韓2社の CTO が揃い踏みし、技術選定から組織変革まで赤裸々に語りました。
本レポートでは、ライブコーディングの興奮と Q&A での深掘りを交えつつ、“作る側の熱” をそのままお届けします。
1. セッションダイジェスト
1‑1 Findy 佐藤将高氏
タイトル:開発2日間!MCP を導入した新サービスの裏側
2025/5/19 にアルファ公開した 「Findy AI+」 を解剖。
UI を“捨てる”ことで、バックエンド+MCP サーバーだけで2日間開発を実現。
Cursor/Copilot/Devin など複数のツールから生成 AI 利用状況を取得し、チャット経由でグラフ化・指標化。
初週で想定の5〜10 倍の登録。課題は「MCP 設定のハードル」と「SSE 方式によるクライアント互換」。
佐藤氏のキーメッセージ「まず作る。UI を捨てれば仮説検証は 10 倍速くなる」
1‑2 QueryPie Brant Hwang 氏
タイトル:10 分で MCP サーバーを作ろう!
Spring AI を使い、ライブコーディングで MCP サーバーをゼロから構築。
法人カード SaaS 「Gowid」の REST API をラップし、SSE 方式でリブレチャットに接続。
デモでは
現在時刻を取得
今月のカード利用明細を呼び出し
一覧を表形式で提示
グラフ化まで一気通貫 という ツールチェイン を自然言語で連結。
Brant 氏のコメント「MCP は単なるプロトコル。しかし “どのツールを組み合わせるか” で可能性は無限。AI Hub として全社に展開している」
2. ディスカッションの核心
2‑1 MCP サービスが生まれた理由
Findy | QueryPie |
---|---|
日本での生成 AI ブームを“外側から消費”せず、 自分たちのサービスを AI で再発明 したかった。 | 2月の Anthropic 公開以降、 社内ハッカソンで爆速検証 → 価値を確信 。AI セキュリティ企業として外せない技術と判断。 |
2‑2 既存開発との違い
人数:Findy はエンジニア2名+ビズ1名で実装。QueryPie は 12 名の AI チームが横串。
サイクル:どちらも “週次リリース” が前提。MCP 対応ツールが増えれば即日実装。
UI/UX:あえてリッチ UI を持たず、チャット or 社内 AI Hub に統合。
2‑3 導入3か月の変化
Findy:登録者は多いが “設定で詰まる” ユーザが続出 → 連携自動化が次の壁。
QueryPie:社内非エンジニアも MCP で JIRA・Confluence を操作。業務フローそのものが会話駆動になりつつある。
3. Q&A ハイライト
質問 | 回答(抜粋) |
---|---|
SSE とストリーム API、どちらを採用? | 現状は 従来 SSE クライアント互換が進めば切替も視野(佐藤氏) |
ツール数が増えるとトークンが枯渇する問題は? | RAG 的に「必要ツールのみ動的ロード」する設計へ移行中 MCP にも “Tool RAG” が要る(Brant 氏) |
導入を決めた決定打は? | Findy:1週間ベットして失敗しても痛くないコスト感
QueryPie: LLM×MCP が業界標準になる確信 |
0から作り直すなら? | 共通は “費用最適化”
Brant 氏は「最初から Cloudflare Workers 等のエッジで動かす」
佐藤氏は「セキュリティ要件を満たすトークン方式 API に絞る」 |
4. ここで得た五つの学び
UI を後回しにすると実験コストが激減
MCP サーバー+チャットクライアントだけで価値検証が可能。
バックエンドは“公開できる範囲”で切り出す
ロジック全開示かブラックボックス化かはサービス設計次第。
トークン爆発は「ツール予測」で抑える
全ツールを毎回送るのではなく、ユーザ入力 → ツール選定 → 呼び出しの2段階へ。
組織変革は“体験”が引き金
トップの号令より、メンバー自身がライブデモで価値を体感した瞬間に一気に加速。
セキュリティが真の導入ハードル
個人トークンで権限を切る、操作ログを完備する――企業導入には必須のレイヤ。
終章 ─ 「まず作る」が切り拓く未来
生成 AI の波に乗る方法論はいくつもありますが、本イベントで際立っていたのは “MCP を理由にスピードを削らない” という姿勢でした。
Findy も QueryPie も、UI を捨て、機能を絞り、2日〜1週間でアルファを出す。ユーザの反応と課題を食べながら、次のスプリントへ踏み出す。その繰り返しが「MCP らしいサービス像」を形作っていくのでしょう。
さいごに — 余白を楽しむエンジニアリング
MCP はまだ出来立てのプロトコルです。ベストプラクティスは日々塗り替わり、ツールも規格も変わり続けます。だからこそ、余白を恐れず、まず一手を打つ――このマインドが、次のブレイクスルーを呼び込むはずです。
“UI を捨てて 10 倍速”――あなたのチームでも、明日から試してみませんか。
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