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開発AIツール比較座談会!Copilot・Cursor・Cline・Devin・Windsurf レポート
公開
2025-04-03
更新
2025-04-03
文章量
約3663字
2025年3月27日、「開発AIツール比較座談会!Copilot・Cursor・Cline・Devin・Windsurf」という勉強会がオンラインで開催されました。ソフトウェア開発支援のAIツールが急速に進化している中、GitHub CopilotやCursor、Cline(Roo Code)、Devin、Windsurfなど、注目の開発支援ツールをどのように使い分けるか——その実践方法や強み・弱みを座談会形式で意見交換するのが本イベントの目的です。
参加者はエンジニアや技術リーダーの方が中心でしたが、「これからAI開発ツールを導入したい」「複数のツールを比較してみたい」「組織的に使うときのポイントが知りたい」といった声が多く、Q&Aコーナーも非常に活発でした。ここでは、当日の内容を振り返りつつ、いくつかのトピックに分けてレポートします。
イベント概要と趣旨
本勉強会は、AI勉強会コミュニティ「StudyCo」が主催。オンラインでZoom+YouTubeライブを併用し、4名の登壇者がそれぞれのAIツール使用経験をLT(ショートプレゼン)で共有した後、パネルディスカッション形式で座談会が行われました。
扱った主なツール:
GitHub Copilot: Microsoft/GitHub提供の開発補助。主要エディタ拡張で保管や生成などを行う。
Cursor: 単体のコードエディタ。エージェント機能(MCP対応)を備え、対話的にコードやファイル生成・修正ができる。
Cline(Roo Code): 主にVSCode拡張として提供されるツール。初期段階のデモ生成などを素早く行う特徴を持つ。
Devin: スラックやVSCodeなどと連携し、エージェントにタスクを投げるようなかたちでコードやPRを自動生成してくれる。
Windsurf: Cursorに近い位置づけのスタンドアロンエディタ。チャットや補完を駆使して対話的にコードを書く。
CopilotやCursorが“IDEやエディタ上での開発効率化”に寄った体験を提供するのに対し、Devinは“タスクをエージェントに任せる”フローが色濃い——そんなイメージが、登壇者の口から幾度も語られました。
登壇者の自己紹介とLTハイライト
大嶋 勇樹(株式会社ジェネラティブエージェンツ)
AIエージェント開発を手がけるスタートアップでCTOを務める。カーソルやDevinを併用し、あらゆる雑多な作業を“エージェント”に任せようと実験中。
Cursor: コーディングだけでなく、YouTube配信の準備やドキュメント化、繰り返し作業の自動化にも活用。
Devin: プルリクの作成やレビュー依頼など、並列タスクを人手に頼む感覚でエージェントに投げるときに使っている。
吉田 拓(FrontierTech合同会社 代表)
経営からコードレビューまで幅広くサポート。AIコーディングツールの組み合わせを深く追う。
Cursor+Devin: メインの組み合わせ。カーソルでは日々の編集やレビューをし、並列でDevinにタスクを投げてPRを作らせる。
使いこなしのポイント: ドキュメントやアーキテクチャノートをきちんと用意し、ツール側に正確なコンテキストを与える。
上野 彰大(PharmaX株式会社 取締役/エンジニアリング責任者)
医療系サービスのAI活用を推進中。趣味でもカジュアルにプログラミング勉強会を主催。
Cline: デモアプリを素早く立ち上げたり、大規模な最初のコード生成を任せるときに有効。
Cursor: 細かい修正や個別ファイルへの参照・指示をピンポイントで行う場面で使う。
大規模にドキュメントを整備しすぎるとトークンが肥大化してツールが混乱する、という課題感も共有。
安部(株式会社ゆめみ リードエンジニア)
ここ1か月ほどでAIツールを試し始めた、いわゆる“導入ビギナー”目線の体験談を紹介。
Cursor+Copilot+Devin: それぞれの特性を試行錯誤中。
Devinにタスクを投げると並列でPRが生成されるが、レビュー側がボトルネックになりがちという悩みも発生。
パネルディスカッションでの主な話題
ツールの全体像・基礎知識
GitHub Copilot: もともとペアプログラマー的に補完してくれるのが強み。最新のエージェントモードはまだプレビュー。
Cursor: シンプルなエディタとして定着する人が多い。MCP対応で対話的にタスク指示がしやすい。
Cline(Roo Code): VSCode拡張としての便利さ。初期段階のデモ生成力が高く、短時間で大枠のアプリを作るのが得意。
Devin: スラック連携が特徴的で、まるでチームメンバーに依頼するようにタスク丸ごと任せて並行処理できる。一方、人間側が複数PRのレビューでボトルネックになりやすい面も。
現場での実践テクニック
ドキュメント整備: AIエージェントに正確なコンテキストを渡すうえで、事前の情報設計が重要だという意見が多い。
プルリクの自動生成とレビュー: Devinなどに任せると、短時間でPRを量産できるが、結局は人間が並列でレビューする必要がある。
立ち上げ段階と微調整段階の使い分け: 初期段階の大きな生成はClineで一気に書かせ、細かい修正をCursorで行うなど、役割を分ける例も。
各ツールの比較
CursorとCline: どちらも強力だが、生成と保管、対話のリッチさなど差異は微妙にある。使ってみてフィーリングで決めるのがおすすめとの声。
Copilotエージェントモードはまだアルファで機能制限が多い。今後に期待。
Devin: 料金が高めだが、組織的に導入するとタスク丸投げのメリットが大きい。個人利用にはハードルがある。
未来とエンジニアに求められること
完全自動化は遠い? 今のところ、生成されたコードすべてを盲信できるわけではなく、責任所在は人間側に。
設計・レビュー・権限委譲 コーディングよりも“どこをAIに任せるか・どう検証するか”を判断する力が重要に。今後は組織設計の一環としてAIをどう位置づけるかがカギ。
学習と経験のバランス AIのコードを使いこなすには、人間が何をどこまで理解すべきかのラインが問われる。基礎力の反復やビジネス要件の把握が不可欠という意見もあった。
Q&Aのポイント
イベント終盤には多数の質問が寄せられ、時間オーバーしつつも可能な限り回答が試みられました。
複数ツールの併用: コパイロットとCursorなどを同時に入れて衝突しないか? → 実際には保管が重複すると混乱を招く可能性がある。状況に応じて一方をオフにするのが無難。
英語か日本語か: ルール文書は日本語で書くことが多いとの回答。チーム全員が読むので、言語の壁を作らないほうが運用しやすい。
組織導入のハードル: カーソルなどエディタ自体を導入する場合はセキュリティ審査が面倒なケースも。ClineのようにVSCode拡張でAPIを使うほうがスムーズな場合がある。
費用対効果: 「APIコストより人件費のほうがはるかに高い」「短期間でのPOCなら効果が大きい」などの声が出た。
全体を踏まえた感想
座談会を通じて、どのAIツールも日々アップデートがあり、優位性は流動的だと再認識されました。そのため「まずはどれかをがっつり使い倒すことが一番の近道」との意見が大勢を占め、さらに組織として導入するならルールやドキュメントをきちんと設計しないとAIが混乱する場面が多い、という実践的な視点も浮かび上がりました。
そして、コードを機械任せにしていくほど、人間が関わる場面はシフトし、責任所在やレビュー負荷が課題になってくることが明確です。しかし「絶えず人間がボトルネックになるからこそ、アーキテクチャやプロジェクトマネジメントを大幅に刷新するチャンスだ」というポジティブな発言が多かったのも印象的でした。AIツールが書いたコードを、どう検証し、どうビジネス価値に変えるか——その視点こそがエンジニアやチームにこれから求められていくのでしょう。
急激な進化を遂げるAIコーディング支援ツール。今回の座談会では、CopilotやCursor、Cline、Devin、Windsurfなどの特性や導入実例が率直に語られ、Q&Aでも実践的な疑問が多く寄せられました。新たな手法に挑みたい人も、いくつか触ってみて自分なりの「使い分け」を模索することで、想像以上の生産性や組織的な変革を実感できるはずです。
「今やらなければ、後で学習コストを惜しんでも乗り遅れる」。そんな登壇者の意気込みに刺激されながら、参加者たちは次のアクションを考えていた様子でした。今後もアップデートされ続けるAIツールをウォッチしつつ、ぜひ一歩踏み出して自らの開発環境を革新してみてはいかがでしょうか。
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