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Lunch Time Input #5: LINE Botとマネタイズ 収益化の事例4選 イベントレポート
「Lunch Time Input #5: LINE Botとマネタイズ 収益化の事例4選」は、2025 年7 月8 日の正午、YouTube Live で開催されました。 昼休みの 50 分に “実際にお金を生んでいる LINE Bot/LINE ミニアプリ” を 4 つ取り上げ、開発・運用・採算のリアルを一気に学ぶ濃密なセッションです。
登壇者は次の4名。
登壇順 | スピーカー | 所属・肩書 |
|---|---|---|
1 | 香川 貴之さん | Brave Technology CTO / LINE API Expert |
2 | 山竹 大輔さん | メディア企業エンジニア / ブロガー |
3 | よかさん | Picone 開発チーム / 大学生 LINE API Expert |
4 | 藤原 優太さん | Omaigot 代表取締役 / エンジニア |
本レポートでは マネタイズの構造と技術的ツボ を中心に、当日の温度感そのままにまとめました。
1. 導入 1,000 件を突破した順番待ち SaaS「Mato」
最初の事例は Brave Technology が提供する LINE ミニアプリ 「Mato」。
ビジネスモデル
B2B SaaS 月額課金
初期導入費+月額利用料で安定収入を確保
250 社以上が法人契約、累計 1,000 アカウント超
導入業種の広さ – レストラン、クリニック、自治体窓口まで網羅
技術スタック
フロント: Vue.js + TypeScript
バックエンド: AWS Lambda/DynamoDB + Express on ECS
LINE と連携する部分は ミニアプリ を採用。サービスメッセージが5回送れるため、呼び出し通知・リマインド通知をコストゼロで配信できる点が決め手でした。
Q&A でのポイント
審査フリー化(2025/6) の影響を質問された香川さんは「開発スピードが段違いに上がった」と回答。
「ローカル環境からの CI/CD は?」という問いには Bitbucket + CircleCI で全自動デプロイの実演画面が披露されました。
2. 個人開発でも黒字化「GPT AI ダヴィンチさん」
続いてメディア企業エンジニアの山竹さん。OpenAI API を組み込んだ対話 Bot 「GPT AI ダヴィンチさん」 を 2023 年1月に公開し、1200 人の友だちを獲得しています。
マネタイズの仕組み
項目 | 内容 |
|---|---|
課金形態 | 月額 300 円のサブスクリプション |
決済基盤 | Stripe Checkout(ノーコード連携) |
制限解除 | フリープラン購入後、発行されたサブスク ID を Bot に貼り付けるだけ |
公開 20 日で初回課金が発生し、3 か月で 計 3,900 円 の売上を記録。 API 使用料を Davinci→ChatGPT-Turbo へ切替え、月 1,200 円かかっていたコストを 約 200 円 まで圧縮したことで黒字化に成功しました。
Q&A でのポイント
「決済システムを完全連携せずとも ID コピペで運用できるのか?」
Stripe の Webhook で支払いステータスを確認し、手打ち ID と付き合わせるだけ。開発時間を 1/3 に短縮できた。
「サブスク解除はどう処理?」
Stripe の Customer Portal をそのまま案内。バックエンド側は Webhook でプランを自動ダウングレード。
3. 14 万人を惹きつける相談ビジネス「AI 占い君」
Picone のよかさんが紹介したのは 「AI 占い君」。 LINE 上でオーラ診断、チャットタロット、長文鑑定の 3 サービスを提供し、登録ユーザーは 14 万人。
料金体系
チャットタロット: 1 分課金(後払い)
精密鑑定: 前払い買い切り(Stripe リンク)
オーラ診断: 初回無料、再閲覧は有料
体験設計の工夫
プッシュメッセージを惜しまず使用 – 待ち時間をローディング表示+進捗実況で埋め、占い師とのライブ感を演出
占い師ごとにアイコンを切替 –
iconSwitchを全メッセージに適用しキャラ没入度を高めるリッチメニューのオンボーディング – 1 回だけクローズさせてから Flex Message を表示する“静かな初回体験”を実装(リッチメニューのポストバックに
closeRichMenuを仕込むハック)
Q&A でのポイント
「ローディング中だけアイコンが切り替わらない」
現行仕様では不可。LINE 公式へ改善リクエスト中。
「前払いと後払いどちらが売れる?」
タロットは継続率重視で後払い、精密鑑定は高単価ゆえ前払いが適していた。ユーザー行動と実装コストで判断。
4. LIFF で広がる B2B2C ― デジタルスタンプラリーとビンゴ
最後は Omaigot の藤原さん。「LINE × スタンプラリー/ビンゴ大会」 で企業・自治体のプロモーションを支援しています。
スタンプラリー「The Stamp Rally」
LIFF アプリ をリンク形式で配布 → 既存公式アカウントのリッチメニューから即起動
B2B2C ライセンス: 1 イベント買い切り+カスタマイズ費
実績: ショッピングモール、自治体、キャラクターコラボなどで採用
オンラインビンゴ
30 人までは無料、31 人以上は 1 万 1,000 円 のスタンダードプラン
2018 年リリース後、コロナ禍で需要が急増。2024 年売上は 2021 年比 4 倍に。
SEO で「LINE ビンゴ」「リモートビンゴ」検索 1 位を確保し、問い合わせが途切れない体制を構築。
Q&A でのポイント
「ミニアプリではなく LIFF を選んだ理由は?」
クライアントの公式アカウントと 別チャネルで完結 できるため導入が極めてスムーズ。
「サービスメッセージが使えない欠点は?」
LIFF でも
sendMessages()でタイムライン上部に固定できる Flex を送れば代替可能。
パネル & Q&A で見えた“収益化のリアル”
課金手段は Stripe が圧倒的多数 – Webhook だけで利用状況と連動できる手軽さが勝因。
プッシュメッセージのコスト設計 – SaaS やサブスクでは月額/分課金に吸収できるが、無料枠が多い個人開発では慎重に。
SEO とコミュニティが最大の集客チャネル – 広告費を抑え、技術記事やイベント登壇で信頼を醸成する戦略が共通項。
“続けられるか” が最大の壁 – 収益 ≥ ランニングコストを早期に実現しない限り、サービスは静かに墓場行きになる。
あとがき ― “作る”と“稼ぐ”を両立させるヒント
昼休みわずか 50 分のイベントでしたが、4 人のスピーカーは 「LINE プラットフォームでどう利益を残すか」 を数字付きで語ってくれました。
SaaS も個人 Bot も 課金フローは小さく、体験価値は大きく。
コストは常に“可変費”に置き換え、黒字転換のハードルを下げる。
そして何より 公開し続ける胆力。検索に拾われる、口コミが生まれる、仕様変更に追随する――時間は最高のマーケティング資産でした。
技術とビジネスの境界を軽やかに行き来する登壇者たちの姿は、「LINE Bot 開発は趣味で終わらない」と力強く示してくれたように思います。 次はあなたの Bot が、この一覧に加わる番です。
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