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実務で役立つデータ活用|実践者ライトニングトーク! イベントレポート
「データ活用に興味はあるけれど、何から手を付ければいいのか分からない」——そんな声に応えるべく開催された今回のランチタイムイベント。3 人の実務家が ライトニングトーク(LT)形式 でそれぞれの経験とノウハウを披露しました。参加者は Zoom チャットと匿名質問フォームを行き来しながら、60 分とは思えない濃密な学びを共有しました。
セッションダイジェスト
1. 「データ活用初心者だからこそ語れる、データ活用のススメ」
登壇者:村元英明 さん(@murasan417)
裏テーマは「10 年前の自分に聞かせたい話」。データ活用未経験者でも実務でインパクトを出すコツを指南。
ROI 試算で“損しない”を示せ
例としてノーコードツール導入の ROI を算出。年225 万円の業務削減効果 − 利用料57 万円 = 利益168 万円、ROI 約297%。
定量目標(コスト削減)に一旦“全振り”し、CS 向上などの定性効果はエッセンスとして後付けする流れが説得力を生む。
説得力向上のポイントは「納得感の薄い数字」だけを検証
実測・ヒアリング・ログ採取で仮説の精度を高める。
データに親しむ第一歩としてヒストグラムを推奨。Excel/スプレッドシートで誰でも作れ、平均値よりも実態を掴みやすい。
キーメッセージ:「会社の性格に合わせて武器(データ)を持ち替えよう」
2. 「車輪の再発明はやめよう!ノーコードでも共通処理を活用しよう」
登壇者:吉田彰宏 さん(@ochitsukiaki3)/テトラコミュニケーションズ
取扱製品 DataSpider を例に、GUI 連携ツールでも 共通処理(部品化) を設計すると開発効率が劇的に上がると解説。
共通化の効果試算
開発ボリュームの 20% を共通処理に置き換えると次回以降その分が削減。
省けた時間はリリース短縮・品質向上・追加機能に再配分できる。
実装例:エラー通知処理の共通化
個々のシナリオに埋め込むのではなく「通知先・優先度」をパラメータ化した単一スクリプトに集約。
仕様変更(API や通知チャンネル追加)があっても共通部品を修正するだけで全体が更新される。
「ローコード=生産性が高い」だけで満足せず、さらなる再利用性 を追求すべきというメッセージが印象的でした。
キーメッセージ:「作る前に“誰かがもう作っていないか”を疑い、車輪を磨こう」
3. 「うまれてはじめて車を買った私が、EV 車体験を通じて考えるデータ活用」
登壇者:品川直子 さん(@rasu666)/広島大学・ヒューマンモデル社アドバイザー
20 年超ペーパードライバーだった品川さんが、大学の EV 通勤補助を機に サブスク型 EV を契約。
データが不安を解消した具体例
充電ステーションのリアルタイム空き状況
アプリで「場所・空き台数・充電速度」を取得でき、充電待ちのストレスが激減。
走行データ × 健康デバイス連携
スマートリングのバイタルデータと車の運転時間を突合。疲労度が高い日を可視化し、運転計画を最適化。
AI スライド生成の裏話も披露
9 割のスライドを ChatGPT+JenSpark で 1 時間で生成。「資料作成にこそデータ活用の意識を」と訴求。
日本で EV 普及が遅れる原因として 充電設備不足 をデータで示し、「データを“自分ごと”化すれば行動が変わる」と結んだ。
キーメッセージ:「日常の好きなことからデータを掘ると“活用脳”が育つ」
Q&A ハイライト
質問 | 回答(要旨) |
|---|---|
ノーコード導入コストの算定方法は? | 工数削減効果を時給換算し、月額利用料と比較する“損しないロジック”が一番通りやすい。 |
共通処理を増やすと複雑化しない? | 入力パラメータを少数に絞る設計 が肝。通知例では「チャンネル」「優先度」だけにした。 |
EV の充電カード料金は? | 月額固定+従量課金。大学補助を差し引くとガソリン車とほぼ同等だった。データで比較すると心理的ハードルが下がる。 |
AI スライド生成の精度は? | 初回は“青基調”に偏るが、修正指示を繰り返すと改善。テンプレ修正時間を含めても手作業の 1/3 で完成した。 |
すぐに活かせる三つの学び
ROI を“損しない証拠”として提示する
コスト削減額 − 投資額 > 0 をまず示す。数字の根拠が弱い箇所だけを追加調査。
ツールでも“共通部品”を作るクセをつける
GUI の連携アイコンでも、外だしして再利用すれば開発と保守が共にラク。
データを身近な興味で試す
家計簿アプリ、健康ガジェット、交通アプリなど“生活 API”が最強の教材。
「データは行動のハンドル」—イベントを終えて
短い持ち時間ながら、三者三様のエピソードはすべて「データを握ると選択肢が増える」という一点で共鳴していました。ROI で上司をうならせる、共通処理で仲間を助ける、EV 体験を快適に変える——どの例も特別なアルゴリズムや高価な DWH がなくても始められることばかりです。
データ活用の第一歩は「数字を取ってみる」だけ。ヒストグラムを描く、共通処理を 1 個作ってみる、アプリで充電スポットを検索する——気軽な一手が、次の改善を呼び込みます。
データは行動のハンドル。握った瞬間に進路を選べるようになる。
次回はあなたの“握ったハンドル”の話を、ライトニングトークで聞かせてください。
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