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プロダクトエンジニアの役割 各社の取り組みと課題とは? イベントレポート
「プロダクトエンジニア」という肩書きが珍しくなくなった今、 それでも“実際にどんな動きをする職種なのか”は会社ごとに大きく異なります。 6月30日に開催された本イベントは、hacomono・ニーリー・SmartHRの三社が赤裸々に取り組みと課題を語り合う、濃度の高い45分でした。
セッションダイジェスト
1. 「プロダクトエンジニアの役割」 hacomono 山本啓介さん
キーメッセージ
AI による自動生成が進むほど “役割” そのものが陳腐化する。
エンジニア・PM・デザイナーを固定席とせず、価値創出に必要な領域へ自ら染み出すことが生存戦略。
社内合宿で AI エージェントに 5 分でアプリを作らせ、旧来のコスト感覚を意図的に破壊。
スクラムを「内省のフレームワーク」と位置付け、毎日 “Why = 自分がここにいる理由” を問い続ける。
Q&A 抜粋
Q. 役割の境界が曖昧になると責任は誰が負う?A. 「責任は役割ではなくアウトカムに紐づく。チーム全員が同じ成果指標を握ることで『境界』は問題にならない」
2. 「ニーリーにおけるプロダクトエンジニア」 ニーリー 三宅克英さん
キーメッセージ
月極駐車場という複雑ドメインでは、課題設定〜リリース後の定着までを一気通貫で見ることが最速。
プロダクトエンジニアが PRD もワイヤーも書き、営業同行やコールセンター支援まで担当。
“使われてこそ価値” を徹底し、繁忙期の郵送業務をエンジニア自ら現場作業しながら改善。
人の「代替」だけでなく「拡張」として AI を組み込み、デザイン・コード・テストを並列自動生成へ。
Q&A 抜粋
Q. ビズ側が“丸投げ”にならない?A. 「むしろ染み出しを歓迎する文化。営業もCSも『一緒にやろう』と前のめりで、相互に学習が起きる」
3. 「マルチプロダクト戦略でのプロダクトエンジニアの動き」 SmartHR 長田智也さん
キーメッセージ
15を超えるプロダクトが並走する中、グランドデザイン(2年後の全体構想) を策定。
ドメインエキスパート × エンジニア混成チームで、技術指針とUI連携まで言語化。
ユーザーヒアリング・営業同席を“当たり前化”し、機能の横断利用シナリオを先回りで設計。
価値の高い機能を領域横断で優先するため、Scrum@Scale を導入準備中。
Q&A 抜粋
Q. 多プロダクトの優先度衝突はどう解く?A. 「Scrum@Scale で全チームのバックログを一枚絵にし、事業インパクト順で再編成する」
横串で見えた共通ポイント
視点 | hacomono | ニーリー | SmartHR |
---|---|---|---|
役割概念 | 壁を溶かし“Why”を軸に再構築 | 専門を出入り自由に | 横断で束ねる指針を策定 |
行動半径 | スクラムで毎日自己点検 | PRD〜現場運用まで | グランドデザイン+営業同行 |
AI活用 | コスト感覚破壊の教材 | 代替+拡張の両輪 | 開発効率化と指針共有に利用 |
Q&Aキーワード | 責任はアウトカム | 丸投げさせない文化 | 優先度は一枚絵で統合 |
三社とも「自分の席を守る」のではなく “価値を最速で届けるために席を跨ぐ” という姿勢が鮮烈でした。
参加者メモ – 明日から試せる3つのヒント
合宿や勉強会で“コスト感覚の破壊体験”を共有する
AI にアプリを作らせるだけでも、思い込みの壁が崩れる。
PRD作成をエンジニアが担い、実現コストで要件を削る
仕様抜けや実装手戻りを前段で潰せる。
営業・CSの現場に同席し“使われる瞬間”を見届ける
リリース後の定着率が設計にフィードバックされる。
全体を通して感じたこと – “役割再定義の時代”
かつて「バックエンド」「フロントエンド」と線を引けば済んだ世界は、 生成AIとマルチプロダクト戦略の波で音を立てて崩れています。
今回の3社は、線が消えた世界でいかに価値を最速で届けるかを真剣に模索していました。 共通していたのは、
価値が届くまでが開発と腹を括ること
AIを恐れず“思考の燃料”として取り込むこと
他部門を“巻き込み”ではなく“染み出し”で溶かすこと
プロダクトエンジニアとは職種名ではなく、 「何があっても顧客価値を止めない」覚悟の総称なのだ–– そんな確かな手触りを持ち帰れるイベントでした。
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