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AI時代のナレッジマネジメント最前線 – Obsidianではじめる、知の構築 – イベントレポート
「AI時代のナレッジマネジメント最前線 – Obsidianではじめる、知の構築 –」が2025年6月26日、ランチタイムの60分枠で開催されました。 生成AIとPersonal Knowledge Management(PKM)の交点にフォーカスした本イベントには、著書『Obsidianで“育てる”最強ノート術』で知られる増井敏克さんと、XやnoteでObsidian×Cursor活用術を発信する松濤Vimmerさんが登壇。 「ノートを“育てる”とはどういうことか」「AIはObsidianをどう変えるのか」という問いに対し、実演デモと具体例を惜しみなく共有してくれました。
1. 増井敏克さんセッション
1‑1. Obsidianを“育てる”とは
増井さんがまず示したのは、 「書いた瞬間に終わるノート」を捨てるという発想です。
ノートは小さく刻む
タグとリンクでネットワーク化する
後から何度でも書き換えて“育てる”
タイトルを日付だけにしたデイリーノートに事実を淡々と投げ込み、後からタグ付けと相互リンクで“知の地図”を描く手法は、Obsidianの思想そのもの。
1‑2. AIによる“振り返り”自動化
ここで登場したのがSmart Connections/Smart Composerプラグイン。 1週間分のデイリーノートをドロップすると、ChatGPT互換モデルが「仕事」「プライベート」など意味単位で要約。 さらにDataViewクエリで抽出したテーブルに対してもチャット質問が可能になるデモは、「振り返り=対話」の新しい形を示しました。
1‑3. タグとフォルダーのリアル
「フォルダーは極力使わずタグで回遊性を確保する」という方針ながら、
会計用に
accounting/expense/…
書籍管理に
book/author/…
のような階層タグを設定。 「タグは増えすぎる前に“見る・直す”習慣が大切」という助言が現場感たっぷりでした。
2. 松濤Vimmerさんセッション
2‑1. Obsidianの“構造”がAI連携を呼び込む
松濤さんは、Obsidianの実体が単なるフォルダー+Markdownファイルである点に注目。 だからこそ
連携対象 | 連携方法 | 強み |
---|---|---|
Cursor・Claude Code | フォルダーをそのまま開く | 最新モデルを即導入 |
Google Drive同期 | ChatGPT・Notebook LMから直接参照 | クラウドAIとの相性◎ |
GitHub同期 | git管理+定期CI | 並列処理・履歴管理 |
という“開放性”が実現できる、と説明しました。
2‑2. Claude Codeによる並列実行デモ
圧巻だったのは16ペイン同時生成の実演。 1つのJSONファイルにタスクを羅列し、tmux
でペインを分割。各ペインにClaude Opus 4を差し込むことで、長文要約・複数案ライティングを一気に生成する様子は「量と質を同時に取りに行く」最前線そのものです。
2‑3. MCPでGoogleカレンダーと往復
MCP(マルチモーダル・コネクション・プロトコル)を利用し、
デイリーノートからタスク抽出
AIが時刻を補完しイベント化
そのままGoogle カレンダーに登録 という流れをワンクリックで実現。 「ノートで考え、カレンダーで実行」という連携例は、参加者に強いインパクトを与えました。
3. Q&Aハイライト
質問 | 回答ポイント |
---|---|
タグが膨大になりませんか? | 増井さん「時々一覧を眺め、重複・不要タグを手で剪定。タグは“検索辞書”と割り切る」 |
フォルダー運用は一切不要? | 増井さん「原則フラット。どうしても必要な場合のみDB Folderプラグイン用フォルダーを作る」 |
会社PCでの利用は? | 「商用利用はライセンス上問題なし。ただし同期設定と外部AI接続は情報管理部門と要相談」 |
AI出力に必ずタグを付けさせる方法は? | 松濤さん「プロンプトで“出力末尾に #記事/タグ を5個以下で付与せよ”と明示。運用ルールを守らせる」 |
4. まとめと次への一歩
“知”をコードのように扱う時代
両登壇者が繰り返したキーワードは 「育てる」「回遊性」「連携」。
書き捨てない。リンクとタグで耕す
AIを“振り返り装置”として組み込む
Obsidianをハブに、Google Drive・GitHub・カレンダーへ越境する
Markdownというプレーンテキストと、AIという最先端技術。 コードと同じフォルダーにノートが並び、LLMがその場で編集・実行する──これは「知識をバージョン管理する」新しい文化の始まりです。
あとがき 〜ノートは“静的サイト”ではなく“動的アプリ”へ〜
イベントを通じて強く感じたのは、Obsidianが「書くツール」から「走るプラットフォーム」へ変貌していることです。 リンクとタグで張り巡らされたメモは、AIというエンジンを得て自動要約し、日程に変換し、外部APIへ飛び立つ――まるで小さなウェブアプリ。
「何を書けばいいか悩む前に、デイリーノートに事実を放り込もう」 「AIが読みやすい形式=人にも未来の自分にも読みやすい形式」
今日の二人の実践は、そのシンプルな行動を後押ししてくれました。 Obsidianをすでに使っている人も、これから触れる人も、まずは一行のメモから。“育つノート”の旅は、そこから始まります。
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