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『Obsidianで"育てる"最強ノート術』の著者が語る生成AI × Obsidian の可能性 イベントレポート
2025年6月25日、「『Obsidianで“育てる”最強ノート術』の著者が語る生成AI × Obsidian の可能性」が配信されました。登壇者は同書の著者であり技術士の増井敏克氏。 「メモからナレッジへ、そして創造へ」を掲げる本イベントは、ノート間リンクで話題のObsidianと生成AIを組み合わせ、知的生産をどう加速できるかを探る内容でした。本レポートでは、講演と質疑応答を中心に要点をまとめます。
Obsidian ― “外部脳”を支える四つの柱
1. すべてはローカルに置く
ObsidianはMarkdownファイルをローカル保存するため、アプリが終息してもデータを失わない。増井氏は「大事なのはアプリではなくデータ」と断言し、同期にはiCloudやGitを使うと紹介しました。
2. Wikilinkでノート同士を有機結合
[[ノート名]]
で双方向リンクを自動生成。バックリンク一覧がお守り代わりになり、「川又さん→Forkwell登壇履歴」のように人物―イベント―日付を瞬時に往復できます。
3. 階層タグがフォルダーを超える
#出版社/技術評論社
のような階層タグで「一冊のノートに複数分類」を実現。フォルダー深掘りの手間から解放される点が大きな魅力です。
4. プラグインで自在に拡張
コアプラグイン(標準同梱)
コミュニティプラグイン(ユーザー開発)
代表例として Obsidian Copilot、Smart Composer、Smart Connections が挙げられました。講演中のライブデモでは、右クリック一発で要約・難易度調整・執筆支援が動作。複数ノートをドラッグし「要約して」と指示するシーンは圧巻でした。
生成AIとObsidianをつなぐ三つの回路
回路 | 特徴 | 登壇デモのハイライト |
---|---|---|
Obsidian Copilot | プロンプトをメニュー化。右クリック操作のみ | 専門的な説明文を小学生向けに書き換え、そのままノートに差し替え |
Smart Composer | ChatGPTクライアント兼MCPサーバー対応 | スラックチャンネルの脆弱性情報を取得し、ノート要約と統合 |
Smart Connections | 類似ノート検索+自然言語検索 | 「情報セキュリティ」で最も関連深いノートをAIが自動列挙 |
増井氏は図や表の生成もAIに外注。マーメイド記法のシーケンス図をワンプロンプトで作り、Markdown表の行列反転も即時変換するデモを披露しました。
Obsidian最新アップデート
Web Viewer内蔵ブラウザで記事本文のみ抽出し、ワンクリックでノート化。
Obsidian Web Clipperドメイン別CSSセレクター設定で、必要箇所だけクリーン取り込み。
Bases(β)コアプラグインとして加わった簡易データベース。GUI操作でビュー作成が可能(カタリストライセンス先行公開)。
DataView + JSJavaScriptでクエリを組み上げ、家計簿や対照表まで自動生成。AIチャットが検索対象にできる点が決定的な差別化要因。
Q&Aダイジェスト
Q. デイリーノートが溜まるだけで振り返れません。AIで何が出来る?A. 1週間分のデイリーノートをドラッグして「要約して」。仕事・学習・私生活のインサイトをAIが整理してくれます。
Q. iPhone版は実用になる?A. iCloud同期で可。ただし2万超ノートでは動作が重い。増井氏はGitHub閲覧+必要時プルの運用で解決。
Q. ノートが増えすぎて迷子にならない?A. タイトル命名とタグ運用を徹底。検索時は「日付+キーワード」で即ヒットする設計にしているとのこと。
Q. AI生成ノートと自筆ノートの混在が不安ですA. AI生成物には専用タグを付与。もしくはAI専用ボルトを別立てし、カーソルなど外部ツールでブリッジする手もある。
使いこなしのコツ
まずは書く癖を付ける – 「歯磨きと同じ」と増井氏。雑でも良いから毎日デイリーノートへ放り込む。
プロパティを整備 – タイトル、タグ、フロントマターを後からでも追記し、データベース化を見据える。
壁打ちはAIに任せる – ノートに不足がないか、示唆をもらう。「この内容を4象限で図解して」など発展的依頼が効果的。
良質なデータだけを育てる – ゴミはゴミを生む。定期的にタグ統合や重複ノート削除を実施。
さらなる展望
講演終盤、増井氏は「AIエージェント時代に備え、ノートは“学習素材”になる」と強調しました。質の高い一次情報を継続的に蓄える者こそ、AIと協働する未来でリードできる――これが氏のメッセージです。
まとめ ― “第二の脳”と歩むこれから
すべての道はノートに通ず
Obsidianを起点に、思考・業務・ライフログが一本のタイムライン上で呼吸を始める。生成AIはそのラインを俯瞰し、新たな結節点を提案してくれる存在です。 増井氏のデモは「外部脳」という比喩を現実のものにしつつありました。メモアプリの域を超えた知的生産プラットフォーム――それが、ObsidianとAIの合流点で見えた未来です。
今日の一行メモでも、昨日の家計簿でも構いません。まずは書くことから。ページを開く小さな習慣が、あなた専用の“第二の脳”を育て、AIと共創する土壌になります。
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