☸️
「リスクから学ぶ Kubernetesコンテナセキュリティ」イベントレポート
はじめに ――30分で学ぶ“守り”のクラウドネイティブ
Kubernetes を扱う現場が拡大する一方で、「セキュリティは後回し」という空気は根強いものです。今回のインフラエンジニアBooksは、『リスクから学ぶ Kubernetesコンテナセキュリティ』著者の望月敬太さんを招き、“リスクから逆算して対策を設計する” という発想を30分で持ち帰ってもらうことが目的でした。オンライン会場は YouTube Live。事前アンケートによると参加者の 36.7% が“趣味で Kubernetes を利用中”、44% が “セキュリティは検討・勉強中” と回答しており、「学びの入り口」を求める層が大半を占めていました。
オープニング ――“本好き”コミュニティが紡ぐ場づくり
司会の長井さん(APコミュニケーションズ)は、立ち上げの思いとして
「著者の声を直接聞くことで、一冊の価値を100倍にしたい」 と語り、ハッシュタグ投稿を呼びかけ。チャット欄にはさっそく “趣味 K8s 勢ですが、セキュリティは手付かず。助かります!”といった声が流れ、温度が上がります。
著者講演ダイジェスト
1. “Why”から始めるセキュリティ
望月さんはまず、「プラクティスだけ追っても腹落ちしない」 と経験を共有。
コンテナセキュリティはレイヤごとに無数のベストプラクティスが存在
しかし “なぜそれが必要か” が分からないと実装が形骸化する
そこで本書はリスク(Y)→考え方→対策(How)の順で構成。「危ない橋を渡るとき、人は慎重になる。橋が危ないと知っているからだ」という例えは、多くの視聴者のメモに残ったようです。
2. 本書の構成と狙い
ハンズオン率は約80%
リスク8ケースを再現し、攻撃→防御を体験的に学ぶ
図解を徹底し「たぬきではなくキツネ」のアイコンが案内役
紙版へのこだわりも披露。厚めの“バンヌーボ”紙でページが自然に開き、「机上に置いたままコマンドを写経できる」とのこと。チャットには “紙で買います宣言” が相次ぎました。
3. ライブデモ:コンテナブレイクアウト
短時間ながら圧巻だったのは ケース5「コンテナからホストを操作される」 の再現。
脆弱な設定を持つ
sample-web
コンテナに侵入一行のコマンドでノードの名前空間へ脱出
ホスト上の別コンテナ
backend-app
に入り込み資格情報を窃取/proc
を通じて第三のhello-app
のログを改ざん
「コンテナは Linux の “ただのプロセス”。隔離が破れれば、横にも下にも広がる」
という言葉に、視聴者のコメント欄は一瞬静まり、次いで
“悪いことはできるが、良い対策も分かった”といった反応が並びました。
4. 対策のエッセンス
不要な特権・ボリュームマウントを与えない
PodSecurityPolicy/Admission 制御でガードレールを敷く
CI パイプラインで マニフェストスキャンを自動化各項目は書籍で深掘りされており、望月さんは “How の前に Why を思い出してほしい” と再度強調しました。
Q&A ハイライト
質問 | 望月さんの回答(要旨) |
---|---|
潜在的リスクには何があるか | コンテナイメージ由来の脆弱性と、 ホストとの隔離が破られること が二大要因。まずはイメージ管理とランタイム設定を押さえるべき。 |
表紙デザインは著者が決めるの? | 「いい感じで、でも○○はイヤ」と要望を出し、出版社が複数案を提案。紙質も打ち合わせを重ねた。 |
趣味利用者が多いのはなぜ? | 自分も同じで、 好きだから手を動かす → 成果が生まれる サイクルが回りやすい。 |
Q&A 直前には
“執筆575時間は4か月分の労働!” と司会が驚嘆。望月さんは照れ笑いしながら「感想は何よりの報酬」と述べました。
参加者のリアクション
「Roadmap がありがたい。最初に実践ガイドを読んで挫折した身には救い」
「デモが生々しくて一瞬で腹落ち」
「バンヌーボ紙、確かに触り心地最高」
書籍未読の参加者(約80%)から “買います” コメントが相次ぎ、イベント開始5分で書店サイトの在庫が動いたという報告も。
次回予告とコミュニティの展開
主催の APコミュニケーションズは、今後はテーマごとに 「エンジニアBooks」 へ名称を拡張し、データ基盤や AI 分野の書籍も取り上げていくと発表。次回は 3/3『海底新版 エンジニアのためのデータ分析基盤入門』を予定しています。
取材後記 ――“Why から始める”楽しさ
ライブデモで脆弱な Pod が崩れ落ちた瞬間、チャット欄に走ったざわめきは「知識の血肉化」が起きた合図でした。リスクを体感し、対策の意味を理解する。望月さんが 575 時間を投じて磨いた「入口」は、まさに本と現場をつなぐ跳躍台です。
イベントを通じて印象に残ったのは、“趣味で K8s” と答えたエンジニアの多さでした。好きで触れているからこそ、セキュリティも“教科書通り”ではなく 実験と発見のスパイス が欲しい。今回の30分は、そのスパイスを配る絶妙な長さだったと言えます。
次の学びは、あなた自身のクラスタで kubectl apply
しながら始まります。ハンズオンの手触りを大切に、まずは一冊を机の横に開いてみてください。
Yardでは、AI・テック領域に特化したスポットコンサル サービスを提供しています。
興味がある方は、初回の無料スポットコンサルをお申し込みください。
また、資料請求やお問い合わせもお待ちしております。テック領域の知見を獲得し、事業成長を一緒に実現していきましょう。
Read next
Loading recommendations...