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LT大会 #11 LLMの活用・機械学習・データ分析関係のいろいろな話題にふれよう レポート
毎回 “短く・深く・広く” を掲げる LT 大会。第11回は生成 AI の実装例から古典統計の再点検、量子コンピューティングの挑戦まで、全9枠がひしめく濃密な2時間となりました。ここでは当日の流れを追いつつ、特に反響の大きかったトークを掘り下げます。
オープニング
司会の運営チームからは Q&A 機能の使い方や資料公開可否が案内され、チャット欄には早速「ClaudeとRooの話、待ってました」「量子編わくわく」の声。“講演中でも遠慮なくツッコミを” という呼びかけが場を早くも温めます。
Lightning Talks ハイライト
1. RooCode と ClaudeCode を実戦比較
登壇:上野 彰大(PharmaX)/持ち時間 10 分
焦点:VS Code 拡張として普及が進むコード生成エージェントの双璧を、導入コスト・カスタマイズ性・UI で徹底比較。
刺さったポイント
「暴走機関車の Roo、万能マルチツールの Claude」 という一言で特性を表現。
月額上限課金 vs 従量課金の差がチーム予算にどう響くかを具体的金額で提示。
モード切替や Git 連携など、“使い倒して見えた現場の痛み” が随所に。
会場リアクション:「自社の1プロダクトで月20万は痛い」「モード概念は確かに Roo の優位」など、導入側の生々しい声が続出。
2. AI検索エンジン「ZeroSearch」の論文解説
登壇:東山 竜也(People Software)
API コストと負荷集中を“未来の検索のボトルネック”と位置付け、ZeroSearch が提案する“事前批判ループ”(水論強化学習)を紹介。
論文→実装の壁 を冷静に指摘:LLM と Value Critic を別 GPU に載せる必要があり、量産には工学的ハードルが残る。
印象的な一言:「検索は“選ぶ”から“推敲する”時代へ」。
3. 3次元点群の地表面抽出の方法であるCSFについて
登壇:板倉 健太(ImVisionLabs)
LiDAR の三次元点群から地面を抜き出す Cloth Simulation Filtering を、クラウドコンペアのデモと数式で両面解説。
アニメーションで布が山肌に絡みつく様子を可視化し、パラメータ(粒子間隔・剛性・イテレーション数)が結果にどう影響するかを示した。
土木・自動運転の現場がすぐ想像できる説明 により、AI 系聴衆の多い中でも技術的奥行きを印象付ける快投。
4. とある量子の機械学習 そげぶ編
登壇:江﨑 崇浩(個人)
量子ゲート型コンピュータと古典コンピュータを組み合わせたハイブリッド学習のチュートリアルを実走。
実装障壁として 「量子回路の最適化で可読性が一瞬で失われる」 点を告白。
作品愛あふれるスライドと“幻想殺し”オチにチャットは爆笑と共感。「量子 ML は夢があるが現場適用は険しい」という教訓が残る。
5. 大阪・関西万博のニュースを届けるAIメディア「EXPOニュースくん」の開発
登壇:長井 健一
大阪・関西万博を勝手に盛り上げる動機から、半年で1.9万本のニュースを自動収集・タグ付け。
ファインチューニングで ポジティブ/心配ニュースを分離、店舗設置サイネージが大阪弁で読み上げる実演に“かわいい”コメント殺到。
「データ収集は“文化を残す”活動でもある」 と締め、技術と地域愛の幸福な交差点を示した。
6. AIエージェントのフレームワークを見るときの個人的注目ポイント
登壇:大嶋 勇樹(Generative Agents)
触って分かったポイントを3軸で整理:エージェント型 vs ワークフロー型/カスタマイズ性/ヒューマン・イン・ザ・ループ。
“短いコードより制御可能性”という提言にベテラン開発者が深くうなずく。
7. LASSO回帰:数学的な考察とその応用 ~LASSO回帰の理論と実践的な応用を探る~
登壇:アーベルようこ(フリーランス)
L1 と L2 正則化の幾何学的差異(ダイヤモンド vs 円)を図解、Python・R の実装例まで一筆書きで紹介。
「600万変数でも戦えるスパースモデル」 という実務譚は統計クラスタの琴線を直撃。
8. Drawing with LLMs コンペの“激ヤバ”事例
登壇:早野 康太
評価指標がコンペ中に2度変わり、最後は「文字を隠し持つ SVG」で上位をさらった事例をユーモラスに暴露。
LLM コンペの難しさ=“評価のハック合戦” を説き、「審査設計は研究テーマ」と喝破。
9. Text-to-SQLの評価データセットを作ってLLMの性能評価をしてみた
登壇:Gota(データアナリスト)
業務現場の質問60件を手で書き起こし、LLM と人手でゴールド SQL を整備。
GPT‑4o と Claude‑Sonnet が 実行精度 0.6 程度 と頭一つ抜けたが、列名のフォーマット差で取り逃し多数。
“AI Ready な DB” を巡る Q&A では セマンティックレイヤの重要性 が共有され、データ基盤派も納得の議論に。
書き手の小窓 ――余韻と展望
LT 大会の醍醐味は、“アイデアの生あたたかさ” に触れられることだと改めて感じました。未完成の比較検証、論文を試したばかりの失敗談、現場でしか聞けないコスト計算――いずれもスライドを閉じた瞬間から自分の手を動かしてみたくなる熱量を帯びています。
今回特に印象的だったのは、評価指標 が各トークで繰り返し語られた点です。コード補完にしろ検索にしろ、量子でも SQL でも、結局は “どう測るか” が信頼と導入スピードを決める。「測る技術を磨くことが実装の近道」――そんな共通メッセージを胸に、次の LT へとバトンは渡されました。
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