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Developers Night Cafe レポート
まえがき
暑さが本格化しはじめた 6 月の夜、YouTube Live に集まったのは延べ千数百人の開発者たち。ホストの石田真彩さんと、マイクロソフトの“チャック”こと井上彰さんが、Visual Studio ファミリーと GitHub の最新 AI 機能を一気にデモするというぜいたくな 60 分でした。 本稿では、デモの裏に込められたメッセージと Q&A を中心に「ツールの現在地」を整理します。
1. オープニング──“変愛”チャンネルのむちゃぶり
司会:石田真彩
Global Black Belt(AI 担当)の敏腕ソリューションスペシャリスト。
ゲスト:井上彰(チャック)
Microsoft Innovation Hub の Principal Technical Architect。入社 18 年、“開発ツール布教担当”。
アイスブレイクは例によって謎 T シャツ&ノベルティ自慢。
C# ロゴの S スーパーマン T
Windows 95 パッケージ(VHS 付き!)
Win32 SDK 未開封箱
VS2008 の扇子(ショートカット印刷)
「古参マイクロソフターの押し入れは宝の山」という事実を再確認して本編へ。
2. Visual Studio/VS Code 進化小史
年 | トピック | 開発者に起きたこと |
---|---|---|
1997 | Visual Studio 97 発売 | IDE という概念が普及し始める |
2002 | .NET Framework 1.0/C# 登場 | “F5デバッグ文化”の確立 |
2015 | VS Code 初公開 | 軽量エディタ+拡張の時代へ |
2022 | VS2022 64 bit/Copilot for VS | AI 補完が IDE に常駐 |
井上さんの一言
「IDE の役目は “作る” から “学ぶ” へ移りつつある」
3. デモ1:AI チャットアプリを 10 分で
VS 2022 の新規プロジェクト → 「AI チャット Web」テンプレートを選択
GitHub Models(OSS LLM カタログ)のトークンを発行
appsettings.Development.json
相当を User Secrets へ格納システムプロンプトを日本語で上書き(「あなたはカフェソムリエです」)
dotnet run
→ 多言語対応カフェアプリ完成
ポイント
テンプレートが Aspire 構成を自動作成。オブザーバビリティまで即時有効。
GitHub Models は無課金・期限付きトークンで試せる。
4. デモ2:コードを書かない“開発”
4‑1 GitHub Copilot Workspace(コードエージェント)
Issue に要件を書くだけで、ブランチ/コミット/PR まで自走。
6 分で「開発者カフェ」サイトが生成され、PR に設計意図が記述済み。
人間はレビューとマージ判断に集中。
4‑2 Codespaces――ブラウザ IDE の標準装備
Copilot が生成したサイトをローカル不要で即起動。
依存インストールは数十秒。ブラウザ上で VS Code UI が全機能。
5. デモ3:MCP & AI Shell――ターミナルも進化形
ツール | 役割 |
---|---|
MCP (Model‑Context‑Protocol) | LLM と外部ツール連携を標準化 |
Copilot Chat エージェントモード | MCP 経由で“ガンダム管理 API”を呼び出し、ステータスクラスを自動生成 |
AI Shell (ash) | ChatGPT/Azure OpenAI に質問しながら CLI コマンドを半自動生成 |
Edit (ターミナルエディタ) | WinGet 経由で導入。軽量ながら複数ファイル編集に対応 |
「昔はhelp、いまはashに聞く」 —— 井上
6. VS Code の“Prompt File”とチーム開発
.prompt.md
に定型プロンプトを置くことで、 /workspace Prompts
→ ガンダムバトル
のようにワンショット実行可能。 ナレッジ/ルールをエディタ設定に近い粒度で共有 できる点が、コードレビューやオンボーディングの効率を押し上げる。
7. Q&A ダイジェスト
質問 | 井上さんの回答(要旨) |
---|---|
AI にコードを書かれたら PGM の役割は? | 「上流設計・品質保証・ガバナンスに重心が移る。だが“作る楽しさ”は残る」 |
VS2022 と VS Code の使い分けは? | 「C#/.NET 本番コードは VS、本質的に“試す”場面は VS Code+Codespaces」 |
開発者が学ぶべき次のスキルは? | 「LLM を“道具”にするプロンプト設計と、AI を組み込んだアーキテクチャ」 |
エンジニアは将来なくなる? | 「クラウドが出たとき“インフラ職は消える”と言われたが健在。AI も同じ」 |
8. 個人的ハイライト
エンジニア T シャツ考古学
扇子にショートカットを刷る発想は 2008 年も 2025 年も変わらず愛おしい。
Copilot PR の文章力
「Implement Developers Night Cafe application」の PR 説明が想像以上に丁寧で、人間の“箇条書き癖”を反省。
Edit の復活感
DOS 世代が泣いた。「マウスを捨てて戻ってきたターミナル愛」。
終章──“ツールと踊る”開発者へ
今回の配信で繰り返されたキーワードは「折り合い」。 IDE、エディタ、シェル、クラウド環境、そして AI エージェント―― 選択肢が増えたぶん、私たちは どこを任せ、どこに情熱を注ぐか を決める必要があります。
井上さんは最後にこう締めくくりました。
「楽しむことを忘れず、AI とツールの進化速度に “人間らしい好奇心” で付き合おう」
毎秒進化する開発ツール群を友として、次のビルドに臨みましょう。
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