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ITエンジニアのためのコーポレートファイナンス入門シリーズ!#1 全体像理解 レポート
はじめに
2025年2月13日、「ITエンジニアのためのコーポレートファイナンス入門シリーズ! #1 全体像理解」がオンライン開催されました。ビジネス/ITコンサルタントとして多様なプロジェクトに携わってきた江﨑 崇浩さんをスピーカーに迎え、コーポレートファイナンスの基本概念や全体像を学ぶ機会となりました。
ITエンジニアにとってファイナンスは、いまいちピンと来ない分野かもしれません。しかし、プロジェクトのROI(投資対効果)や事業価値を意識するためには、ファイナンスの基本的な考え方を理解することが大切です。本レポートでは、当日の講義内容やQ&Aのハイライトをまとめてお伝えします。
発表内容ダイジェスト
1. コーポレートファイナンスの必要性
ITエンジニアにとってファイナンスは少し遠い存在に見えがちですが、実は企業活動に欠かせない視点です。DXやAIへの投資は「企業におけるプロジェクト投資」の一環であり、その成果は最終的に財務諸表や企業価値に反映されます。ROI(投資対効果)や事業評価の根拠を理解しておくと、エンジニア自身のプロジェクトも「なぜ投資されるのか」「どんな効果が期待されているのか」がクリアになり、仕事の手応えや説得力が増すとのことでした。
2. 企業のライフサイクルと資金調達
企業は資金を「負債(デット)」「株主資本(エクイティ)」で調達し、それを使って事業を運営(運用)していきます。特にスタートアップの段階では創業者が出資する「自己資本」、あるいはエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)が資金を提供するケースが一般的です。その後、事業が安定期や成長期に入ると銀行借入や社債の活用、さらには株式上場(IPO)を通じた大規模資金調達が可能になります。
江﨑さんは「企業の一生」を図解で示しながら、シード期・アーリー期の増資、グロース段階の借入、そして上場後のさらなる増資やM&A事例などを解説。「いつ、どのように資金を調達し、どのような形でリターンを求めるのか」を把握しておくと、エンジニアとしてもプロジェクトの背景を理解しやすくなると言います。
3. 会計とファイナンスの関係
ファイナンスを考えるうえで、どうしても外せないのが「会計」です。会計は企業の活動を数値や帳簿で記録・管理する仕組みの総称で、「税務会計」「財務会計」「管理会計」の3種類に大別できます。
税務会計: 税金計算のため、税法に従った会計処理
財務会計: 社外利害関係者(株主・債権者)に向け、財務諸表を開示するための会計
管理会計: 経営者や現場が自社の経営状況を把握し、経営判断を下すための会計
ファイナンス分析や企業価値算定では、財務会計のアウトプットである「貸借対照表(BS)」「損益計算書(PL)」「キャッシュフロー計算書(CF)」の財務三表を軸に、収益性や安全性、成長性を評価します。次回以降の勉強会では、これら三表の具体的な読み方を学ぶ予定です。
4. Q&Aハイライト
当日のQ&Aでは、以下のような質問が印象的でした(要旨)。
MBO(マネジメント・バイアウト)に必要な大きな資金はどう用意するのか?
経営陣が自分で莫大な資金を持っている場合もあるが、多くは外部ファンドやSPC(特別目的会社)を活用し、追加の借入や投資家の出資を受けて調達するケースが多い。
創業当初は資金調達を創業者がやるとして、どの段階で分業化する?
どのフェーズで他スタッフに任せるかはケースバイケース。ただし、VCとの交渉や上場準備など重要度の高い調達は創業者(経営者)が直接対応することが多い。
コーポレートファイナンス専用の部門は存在する?
経理部門や経営企画部門が財務会計や管理会計を担い、必要に応じて資金調達(金融機関との折衝など)を行うことが一般的。組織ごとに呼称はさまざまで、ファイナンスの専門チームがある場合もあるが、経営層を含めた横断的な関わりになることが多い。
全体を踏まえた感想 — 「数字の裏側を意識するエンジニアへ」
今回の勉強会を通じて、コーポレートファイナンスの入口を少し覗くことができました。企業がどのように生まれ、成長し、資金を調達して事業を大きくしていくのかを俯瞰すると、「どうしてこのプロジェクトに予算がつくのか」「エンジニアの成果は最終的に誰の利益となり、どんなリスクを伴うのか」が、よりリアルに見えてきます。
ファイナンスは難しい専門用語が多く、1回の勉強会ですべてを理解するのは確かにハードルが高いです。しかし、江﨑さんも「何度か触れては忘れ、また思い出すうちに、自然とファイナンスの視点を持てるようになる」と強調していました。ITエンジニアとしてプロジェクトに携わるうえで、自社やクライアントが置かれた資金繰りや経営戦略を想像できるようになることは、大きな強みと言えるでしょう。
今後の回では、実際に貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)を読み解く内容も計画されています。数字の裏側を意識しながらコードやシステムを設計できるエンジニアとして、一歩ずつ学びを深めていきたいと感じられる、充実した勉強会でした。今後の展開にも、ぜひ期待が高まります。
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