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開発ライブ実況 #9 AI開発支援ツール レポート
2025年4月22日に配信された「開発ライブ実況 #9 AI開発支援ツール【GitHub Copilot編】」は、エンジニアの生の開発プロセスをのぞける貴重な機会となりました。約4年ぶりの開催ということもあり、多くの視聴者がリアルタイムで参加し、ツイートやチャットを交えながら盛り上がりました。
今回の実況では、GitHub Copilotを用いた開発スタイルがメインテーマです。普段なかなか見られないエディタ環境やAIサジェストとのやり取りが、録画された映像とともに解説されました。以下では、登壇者の自己紹介やイベントの流れ、本編のQ&Aで話題になったポイントなどを振り返ります。
1. はじめに
この「開発ライブ実況」シリーズは、エンジニアがコードを書く様子を録画し、それを出演者たちがライブで解説・実況するイベントです。普段、他人がどんなエディタを使ってどんなショートカットでコードを書き、どんな思考でバグを修正しているかを知る機会はあまりありません。このイベントでは、録画された開発画面を実際に見ながら「どんなツールを使っているのか」「どういう意思決定をしたのか」を細かく追体験できます。
久々の開催となった第9回目では、GitHub Copilotにフォーカス。とはいえ登壇者からは「Copilot周辺のAI技術の進化が早すぎて、収録当時から1か月経っただけでもだいぶ状況が変わっている」との声もあり、実況の中で最新のAI動向に触れる場面もありました。
2. 登壇者の紹介
sivchari さん Go Conference主催、golang.tokyo運営。Kubernetesコミュニティにも深く関わる。 今回は録画担当として、自身の開発環境やAI支援ツールとの付き合い方を実演。GoとKubernetesが得意分野。
vvakame さん 株式会社メルペイに所属。ねこ大好きエンジニア。 技術書典のAPIサーバ開発なども手がけており、今回実況役として参加。AIエディタはまだ本格導入していない派とのことで、新鮮な視点で解説。
yuki.ito さん newmo株式会社に所属するArchitect。Platform Engineeringの推進が専門。 ローカルに専用のGPUサーバを置き、OSSのLLMを動かすなど、AIを積極活用。今回の実況でも「自作エージェント」や「ローカル開発」の知見を語ってくれた。
みきちん さん(司会進行) イベントの進行役。合間に要点をまとめつつ、視聴者のコメントを拾って話を盛り上げる。
3. イベントの流れと実況概要
オープニング
イベント紹介と登壇者の自己紹介。
「久しぶりの開催なので不慣れな点はあるかも」と一同やや緊張しつつスタート。
GitHub Copilotの説明(sivchariさん)
今回の録画では「Copilotの保管機能&チャット機能」を利用。
ネオビム(Neovim)+AvanTEなど、やや珍しいセットアップのため、最初に詳しい環境構成を解説。
録画の実況(vvakameさん・yuki.itoさん)
実際に開発画面を再生しながら、Copilotがどうコード保管をサポートするのかを紹介。
バグ修正に着手し、テストを書き、ライブラリのバージョン問題などに直面する様子を生々しく語る。
フリートーク・Q&A
MCP(Multi-Command-Protocol)の話題や、AIエージェントの安全な運用方法、ローカルGPUサーバの電気代(!?)に至るまで、幅広い雑談に発展。
企業でのCopilot導入状況やプランごとの料金などにも触れられた。
クロージング
感想戦。
「毎月または四半期ごとに録画して進化を追うのも面白そう」「ローカルLLMもいいかもしれない」などの案が飛び出す。
アンケートの案内をしつつ、イベントは終了。
4. GitHub Copilot編:実際の開発プロセス
今回の録画で行われたのは、wrenchというSpanner用スキーマ管理ツールのイシュー修正です。バグ内容は「フラグの値が正常に優先されず、環境変数が勝手に上書きしてしまう問題」。Go言語で書かれたCLIの一部を修正し、テストを追加していく流れでした。
開発環境
ターミナル:GoSht テラフォーム開発で有名な橋本氏が立ち上げた新興ターミナル。Tmux的な分割機能を備えるなど、まだ発展途中だが拡張性が魅力とのこと。
エディタ:Neovim テキストエディタVimの派生版。プラグインで機能を追加しやすい。 Copilotによる保管候補を出すほか、AvanTEというプラグインを使ってチャット機能を実現。
AI保管・チャット:GitHub Copilot しぶちゃりさんの個人アカウントでProプランを利用(OSSコントリビュータの特典で無料)。Copilot ChatもAvanTE経由で使い、コード修正やテスト生成を部分的に任せている。
主な操作フロー
コード保管
Goのコードを書くとき、Copilotからのサジェストをインラインで受け取り、その場で受け入れるかどうかを判断。
実行時に破壊的変更が生じないよう、最終確認は自分で行う。
チャットによる質問
AvanTE上で右側にチャット画面を開き、「この関数は何をしてる?」「テスト書いて」など自然言語で指示。
Copilotが候補を出し、ユーザが「Apply」コマンドでそれを取り込む。
テストコード生成
Golangのテスト(table-drivenか普通の書き方か)をどう書くか、Copilotの提案をベースに判断。
参考になるが過信は禁物で、結局は手動で修正していた。
想定外のバージョン問題
Golangの開発版(1.25系)を使っていたことで、依存ライブラリがビルドエラーを起こす場面も。
Copilotに聞いても汎用的な回答しか出ず、最終的には手作業でバージョンを調整。
5. Q&Aで盛り上がった話題
AIエージェントの安全性
MCPなどで自動的にコマンドを実行させると、誤って重要ファイルを削除してしまう危険も。
「電気代がかかってもローカルGPUで全部動かすか?」「クラウドに投げる方が安全か?」など議論が尽きない。
ローカルLLM運用とオープンソース
yuki.itoさんは自宅にGPUサーバを置いてOSSのモデルを動かしている。
「一見コストや電気代が心配だが、OSSをフルに使いこなすと便利」とのこと。運用ノウハウはまだ模索段階。
企業導入や料金形態
GitHub Copilotは個人プラン、企業向けプランがある。OSSコントリビュータは無償になるケースも。
会社のセキュリティポリシーで使用が制限されることもあり、他のサービス(Jupyter AIなど)との比較検討が進んでいるという声もあった。
今後の開発スタイル
コードの初稿をAIに任せ、最適化や整合性チェックは人が行う流れが定着しそう。
しかし、ハマったときは結局手作業でデバッグするしかない場面もしばしば。
進化のスピードが速く、次に同じ企画をやったときはまったく違うワークフローになっているかもしれないという期待も。
6. 全体を踏まえた感想
実際の開発画面を実況する「開発ライブ実況」シリーズは、ドキュメントやスライドだけでは分からないリアルな開発の“手つき” を見られる点が大きな魅力です。今回も、
ネオビムやAvanTEなど珍しいセットアップが見られる
OSSコントリビューションの現場でCopilotのサジェストをどう取り入れるのか
バージョン問題やライブラリとの相性に突き当たったとき、AIはどこまで使えるのか
といった、非常に生々しく具体的なやり取りが公開されました。視聴者からも「エディタ設定が参考になった」「初めて見るツールだ」「ローカルLLMも気になる」など多彩なコメントが寄せられ、ライブならではの盛り上がりを感じました。
また、AIの活用とリスクという観点でも、興味深い示唆がありました。特にMCPなどで作業を自動化するときの安全策や、ローカルでモデルを動かす場合のコストなどは、今後多くのエンジニアが直面するテーマでしょう。1か月、1クォーター後にはさらに新しいツールや運用ノウハウが登場しているはずで、今回の知見もすぐにアップデートされるかもしれません。
とはいえ、 「コアとなるロジックやリスク判断は最終的に人間が行う」 という姿勢は変わらず重要です。GitHub Copilot編を通して見えてきたのは、コードの下書きをAIに任せるメリットと、そこに潜む落とし穴の両面でした。
新しい技術が矢継ぎ早に出てくるなか、開発者同士でノウハウを共有しながら、自分に合ったツールチェーンを作り上げていくことが今後ますます大切になりそうです。今回のイベントがその一助となれば幸いです。
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