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Qiita Conference 2024 Autumn Day2 レポート
はじめに
オンラインならではの大規模カンファレンス
2024年11月14・15日に開催された「Qiita Conference 2024 Autumn」。日本最大級のエンジニアコミュニティであるQiitaがホストするオンラインカンファレンスとあって、事前登録者は3,000名を突破。実会場を設けずとも、多種多様なエンジニアが画面越しにつながり、チャットやSNSで盛んに交流するさまは圧巻の一言でした。
エンジニアの未来を創る場
このカンファレンスの魅力は、単なる最新テック情報の共有だけにとどまらず、登壇者のキャリアや組織運営、さらには社会全体への影響といった話題まで濃密に取り上げていたところです。自分の将来像を描くうえでのヒントが自然と盛り込まれているため、単に「技術を学ぶ」にとどまらず、「自分は何を大切に働いていくのか」といった視点にまで思考が広がる印象がありました。 オンライン特有のリアルタイム・コミュニケーションも盛況で、セッション中から続々と感想や質問が投稿されるため、登壇者との距離が近いのも特徴的。離れた場所からでも、エンジニア仲間と意見を交わし合える――そんな“オンラインならではの連帯感”が大会全体を包んでいました。
ここでは、2024年11月15日に行われたDay2のセッションを中心に、その熱気と実り多き内容をレポートしていきます。Day1の盛り上がりを上回る濃厚なトピックと、各々のキャリアストーリーにフォーカスした講演の数々が見どころでした。
Day2 全体の流れ
開場からセッション開始まで
Day2は16時50分にオンライン会場がオープンすると同時に、チャット欄には「二日目も楽しみ!」「昨日見逃した分をしっかり吸収するぞ!」といった声があふれ、前日の興奮がそのまま持続している様子でした。17時05分のセッション開始までのわずかな間にも、SNSには「今日はどんな内容が展開されるかワクワクする」といった投稿が相次ぎ、まるで“オンライン待合室”のような賑わいを感じさせました。
序盤セッションの盛り上がり
初っぱなから登壇したのは「エンジニア創業者が語る、ユーザー中心のプロダクトづくり」(柴田 和祈氏 / microCMS)。ユーザーと対話することで見えてくる課題をどう開発に落とし込むか、創業者ならではの具体的手法が披露され、早速チャット欄は「このアプローチは自社にも応用可能」「ユーザーフィードバックの拾い方が目からウロコ」と活気づいていました。続く「賢く選ぶ!脆弱性診断の最適な選び方ガイド」(頭島 龍正氏 / エムオーテックス)も、セキュリティ対策の肝を端的にまとめた実践的な内容で、「社内プレゼン資料に使えそう!」との声が後を絶たない盛況ぶり。実務と直結したテーマが多いのは、さすがQiita Conferenceならではです。
中盤の見どころ
18時20分からの基調講演「プログラミング言語デザインケーススタディ」(まつもと ゆきひろ氏)は、まちがいなくこの日のメインディッシュの一つでした。Rubyの生みの親が語る言語設計の真髄は、単なる“テクニック”を超えて「なぜ人間らしさが大事なのか」という哲学的視点にも触れ、視聴者から「自分が開発するプロダクトにも通じる」「設計思想をどう言語コミュニティで醸成するか参考になった」といった熱い反応が寄せられました。
後半セッションへの期待感
後半戦は「グローバルテック企業から学ぶ、生成AI×開発生産性・開発者体験の最先端と未来」(稲葉 将一氏 / ファインディ)や「リモートワークでもチーム力を活かして開発」(志田 隼人氏 / NECソリューションイノベータ)など、“実践的・かつ今すぐ役立つ”テーマが次々と登場。クラウドやAIの活用事例が具体的に示されるたび、チャット欄には「同じ課題がうちのチームにもある」「レビューの効率化をすぐ試してみたい」といったコメントで盛り上がり、「全編視聴してたら手が止まる!」と嬉しい悲鳴も見受けられました。
クロージングと余韻
20時20分からの基調講演「異色のキャリアを経てグローバルベンチャーに入ったふたりが学んだ、日本と世界をつなぐ視点」で登壇したのは、Vercelの上杉 周作氏と石原 ニコラス氏。OSSや多言語・多文化のバックグラウンドを抱えつつ、世界を横断する働き方を実践する二人のストーリーは「自分の可能性は思ったより広い」「英語に苦手意識があってもチャレンジできる」と多くの人を奮い立たせたようです。 最後の閉会宣言まで、チャット欄には「学びが多すぎて消化しきれない」「来年はぜひ登壇したい!」といった声が続々と上がり、技術者コミュニティ同士の結束感を強く感じさせる一日となりました。
二日目を振り返って
Day2では、技術的な知見にとどまらず、海外との協業や個人のキャリア形成まで、エンジニアに関わるトピックを広くカバー。視聴者の声からは「自分の得意分野が世界でどう活かせるか、考えるきっかけになった」「AIを導入するにあたって組織面から改革が必要だと実感した」というような“具体的な次の一歩”が見え隠れしていました。まさに、このイベントのテーマである「新たな興味を掻き立て、新たな世界を見つけるきっかけ」を体現するような盛況ぶりでした。
セッションレポート①:「プログラミング言語デザインケーススタディ」
まつもとゆきひろ氏、Rubyデザインの“肝”を語る
Day2の注目セッションのひとつが、Rubyの生みの親であるまつもと ゆきひろ氏による基調講演です。言語設計は奥深く、専門的な印象がありますが、「誰に使ってもらうかを定義する」「保守と革新のバランスを探る」「コミュニティが生み出す長寿化」という視点は、どんなプロダクトにも通じる学びだと感じさせる内容でした。
ターゲットを明確に
まつもと氏いわく、Rubyは「自分が楽しめる言語を作ろう」という極めてパーソナルなニーズからスタート。結果的に、それが“書くのも読むのも楽しい”特性となり、多くのエンジニアの琴線を震わせる言語へと成長していきました。エンジニアに「ワクワク」をもたらすという軸がブレないからこそ、時代の変化があっても方向性を見失わないのだといいます。
保守と革新のバランス
機能を増やしすぎるとユーザーがついていけず、かといって何も変わらなければ新しい言語を使う意味がない。「これこそが言語デザインの難しさ」と語るまつもと氏ですが、コミュニティの声を拾いながら機能の取捨選択を繰り返し、“ちょうどよい”ポジションを保ってきたとのこと。リファインメント機能など、やりすぎた部分を振り返って補正する柔軟性があった点も印象に残ります。
長寿ソフトウェアとしての視点
言語は一時的に流行するだけでなく、10年や20年にわたり使われ続ける存在になりやすいという指摘は興味深いところ。Rubyが本格的に脚光を浴びたのは、リリースから10年が経過した後のRailsブームに乗ったとき。まつもと氏は「そこまでコミュニティとともに地道に進化してきたからこそ、爆発的な人気を支えられた」と強調していました。
まとめ
「ユーザーは誰か」「保守と革新をどう両立するか」「いかにコミュニティを育てるか」――これらのキーワードは、言語開発に限らず、プロダクト開発やサービス運営の普遍的な命題だと感じさせられました。“人間らしさ”を意識したRubyのデザイン思想は、多くのエンジニアにとって今後の指針となるのではないでしょうか。
セッションレポート②:「グローバルテック企業から学ぶ、生成AI×開発生産性・開発者体験の最先端と未来」
海外カンファレンスが映す“デベロッパープロダクティビティ”の今
ファインディ株式会社 / プロダクトマネジメント室 室長:稲葉 将一氏のセッションは、サンフランシスコで開催されたDPサミット2024(Developer Productivity Summit)の最新情報をもとに、世界の大手企業がどう開発生産性を高めようとしているかをまとめたもの。会場がオンラインにもかかわらず、参加者からの質問が次々と寄せられ、「海外ではこんなにデータを活かしているのか」と感嘆の声が漏れていました。
生成AIが変える評価指標
GoogleやMicrosoftなどが、“4 Key Metrics”だけに頼らない多面的評価を進めているという話題がまず飛び込みます。特に「ウェルビーイングやチームコラボレーション、モチベーションなどを数値化する」アプローチが興味深く、生成AIを導入してコードレビューを自動化しても、開発者の心理的安全性や組織の習慣づくりが不十分なら成果は限定的になるという指摘に多くの人が頷いていました。
チームカルチャーが鍵
Atlassianの例では、“相関関係と因果関係を混同しない”アナリティクス手法を徹底していて、プルリクのリードタイムやコミット数を追うだけでは見えないボトルネックを洗い出しているとのこと。AIに頼ればすべて解決、というわけではなく、文化面や具体的な習慣づくりがあってはじめて数字が意味を持つのだと強調されていました。
まとめ
稲葉氏は最後に、「日本企業にも同様の動きが広がりつつある」と触れ、自社のFindy Team+を例にデータドリブンな開発者体験向上が加速している現状を紹介。技術と組織論が交差する領域こそが、今後エンジニアが最も“手応え”を感じるフィールドになるのかもしれません。
セッションレポート③(基調講演):「異色のキャリアを経てグローバルベンチャーに入ったふたりが学んだ、日本と世界をつなぐ視点」
Vercelが見せる“多言語・多文化”のキャリア像
Day2の最後を飾ったのは、Vercel Inc.エンジニア 上杉 周作氏とAPJ カスタマーサクセスチームリーダー 石原 ニコラス氏のダブル講演。それぞれアメリカやアルゼンチンといった異なるバックグラウンドを持ちながら、日本企業での経験やOSSコミュニティへの貢献を通じてVercelへ合流した経緯を披露し、視聴者に「英語が苦手でも、OSSやコミュニティを使って世界と繋がる道がある」ことを強く印象づけました。
上杉氏:世界を歩き、コードで繋がる
学生時代からニート期間、さらに世界放浪を通じて得た気づきを行動に移し、“スマホが普及した世界”でプログラミング教育の可能性を探る。上杉氏はこうした変遷の中で英語発信や翻訳活動を行い、それがVercelの目に留まって採用に至ったという実話を紹介。「自分のやりたいことを諦めず発信し続ける大切さ」を語る上杉氏のメッセージは、多くのチャットコメントを集めていました。
石原氏:アルゼンチン発、プロ雀士兼エンジニア
一方の石原氏は、アルゼンチンから日本に来て雀荘バイトやマーケ職など多彩な仕事を経てNext.jsと出会い、エンジニアとして活躍の場を見つける道のりを語りました。プロ雀士としても活動しながら、国境を越えたマルチリンガル・エンジニアの強みを活かしてVercelで躍進中。とにかく“好きなことを突き詰める”姿勢が最終的に自分に合ったキャリアを引き寄せる、というハートフルなエピソードは視聴者の心を大いに動かしたようです。
まとめ
OSSコミュニティや海外カンファレンスなどを通じて築いた人脈や発信力が、思わぬキャリアチャンスを生む——このセッションはその生々しい事例と言えるでしょう。上杉氏・石原氏は口をそろえて「英語力そのもの以上に、何をやりたいかが大切。そこにOSSなどのプラットフォームを掛け合わせると世界が一気に広がる」と強調していました。“異色”を貫いてこそ、新しい道が切り拓けるというメッセージが、オンライン会場でも熱く受け止められていたようです。
まとめと次のステップへ
Day2を通じて、エンジニアリングは“単なるコード”にとどまらず、グローバルな視野や組織文化、さらには個々のキャリア探究といった広いテーマまで包含するものだと改めて実感できたのではないでしょうか。 技術と人間味が交錯する場としてのQiita Conferenceは、オンラインだからこそ遠隔地や海外からも参加しやすく、エンジニア同士のつながりがよりグローバルに広がっている印象を受けました。各セッションを聴いて「明日から社内で話してみたい」「海外コミュニティにも飛び込みたい」と思った方は、ぜひその気持ちを行動に移してみてください。 エンジニアコミュニティは、行動を起こすたびに新たな縁が生まれ、想定外のチャンスが巡ってくる場所でもあります。今回のカンファレンスをきっかけに、あなた自身の“次のステップ”がどう形作られていくのか、次回のQiita Conferenceでまた再会するときに共有しあえると最高ですね。 一人ひとりの発信と挑戦が、エンジニアコミュニティ全体をさらに盛り上げ、未来を切り拓いていく。そんな期待を胸に、濃密な二日間の熱量を糧に新しい一歩を踏み出しましょう。
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