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生成AIを活用して業務改善した話 〜ChatGPTで業務活用データを整備&AWS生成AI認定試験対策〜
公開
2025-03-30
更新
2025-03-30
文章量
約3492字

Yard 編集部
Yardの編集部が、テック業界の最新トレンドや知見について発信します。
目次
CATs(Classmethod AI Talks)とは?
セッション1:ChatGPT + Google Apps Scriptでデータ整備を効率化
営業が取り組む生成AIの活用例
複数スプレッドシートの項目をChatGPTで統合したい…
コード生成をChatGPTに任せ、エラーは都度フィードバックで修正
営業×生成AIの今後
セッション2:生成AIで勉強法を改革~AWS生成AI認定試験AI Practitioner過去問対策~
過去問がまだない新資格、どうする?
プロンプトを駆使して「AWS試験っぽい4択問題」を自動生成
一発合格の背後にある工夫
全体を踏まえた感想:「人と仕組み」がセットで新たな価値を生む
今後への期待 ―「AIの勉強にもAIが使える」学びの連鎖
全体を踏まえたまとめ
さらなる進化に向けて
2025年2月19日に開催された「Classmethod AI Talks (CATs) #17」は、「生成AIを活用して業務改善した話」というサブタイトルで、ChatGPTとGoogle Apps Scriptを組み合わせたデータ整備の効率化からAWS認定試験対策への活用まで、実践的な事例が2本立てで紹介されました。
今回のセッションは、クラスメソッドの営業統括本部から2名の登壇者が「業務効率化」や「勉強法の新しいアプローチ」に関する取り組みを披露。営業活動と並行して生成AIをどのように取り入れ、実際にどんな変化があったのか、非常に具体的な話が飛び出しました。
CATs(Classmethod AI Talks)とは?
クラスメソッドグループが主催する、生成AIにまつわるコミュニティイベントです。実践者や最新情報を追うメンバーが集い、生成AIのスキルアップやケーススタディを共有するのが狙い。今回は17回目の開催で、社内外から多くのAI活用アイデアが集まりました。
セッション1:ChatGPT + Google Apps Scriptでデータ整備を効率化
登壇者: 西川 雄一郎(営業統括本部 アカウント営業部 マネージャー)
営業が取り組む生成AIの活用例
「営業」と聞くと、“人と人とのコミュニケーションが中心で、AIとは縁遠いのでは?”というイメージもあるかもしれません。しかし今回西川氏が強調したのは、営業活動の中にこそ反復的な作業やデータ整理が存在し、生成AIで大幅な時短・品質向上が見込めるという点でした。
たとえば、企業分析や議事録作成、マニュアル整備といった地道なタスクが大量に発生しがち。そこに生成AIを組み合わせることで、**「今まで人力でやっていた部分を自動化・効率化」**する流れをどんどん作り出せる、と話します。
複数スプレッドシートの項目をChatGPTで統合したい…
西川氏が直面した課題の1つが、異なる形式のスプレッドシートを統合するという作業です。 クラスメソッド営業チームで担当者が異動する際、それぞれがカスタマイズしたシートを使っていたことから、以下のような問題が起きていました。
項目名や列の構成が微妙に違い、手作業で整合を取るのが大変
数百件~千件規模のデータがあるため、純粋に時間がかかる
コピペやマニュアル整備ではミスが起こりやすい
そこで試してみたのが、ChatGPTとGoogle Apps Scriptの連携。当初はChatGPTだけでまとめようとしたが、再現性や整合性の問題が発生。最終的に「ChatGPTにGoogle Apps Scriptのコードを書いてもらう → 実行してシートを自動マージ」というアプローチに落ち着いたと言います。
コード生成をChatGPTに任せ、エラーは都度フィードバックで修正
西川氏は、まずChatGPTに「Google Apps Scriptで、こういう整合を行うコードを書いてほしい」と要望を提示。ただし最初からすんなり動いたわけではなく、10回ほどトライ&エラーを繰り返したそうです。
「ChatGPTが提案したコードを貼り付けると動かない」
「エラーコードを再びChatGPTに提示し、原因を追究」
「ログ出力やコメントを充実させ、コードの意図を明確化」
こうした手順を粘り強く繰り返すことで、無事に複数スプレッドシートを1つに統合し、重複列を排除して整合性を確保するスクリプトが完成。かつては数時間~数日かかっていた作業が、10分程度で完了するようになったそうです。
営業×生成AIの今後
「想定以上にスムーズにデータ整理ができるようになり、属人的だった部分を省力化できた」と西川氏は語ります。 今後はさらに高度な分析や、プライベートリサーチ(ウェブ検索を含むディープリサーチ機能)の活用などを検討中。営業領域でも、「協力ベースのエンジニアリング」や「共通データの再利用」が成長ドライバになると印象づけるセッションでした。
セッション2:生成AIで勉強法を改革~AWS生成AI認定試験AI Practitioner過去問対策~
登壇者: 齊藤 雄太(営業統括本部 アカウント営業部 チームマネージャー)
過去問がまだない新資格、どうする?
AWSから新設された資格「AWS Certified AI Practitioner」。合格期限を早めにクリアすると「アーリーアダプターバッジ」が得られる特典があり、それを目当てに「早めに勉強しよう」と意気込んだ齊藤氏でしたが、まだ過去問がほとんど存在しないのが実情でした。
齊藤氏いわく、「自分はいつも参考書を読み込み、章末問題→過去問演習の順で理解を深める“3ステップ学習法”を採っている」とのこと。しかし、新資格には過去問がない。「それなら作ればいい!」という“逆転の発想”で取り組んだのが、ChatGPTを使った自作の模擬問題集でした。
プロンプトを駆使して「AWS試験っぽい4択問題」を自動生成
齊藤氏が行ったのは、 ChatGPTのプロンプトに「AWSのAI Practitionerを想定した問題を出してほしい。4択式で、間違えたら解説してほしい」 など詳細要件を詰め込む方法。 また解説は「小学生にも分かるレベルで」「誤答選択肢はなぜ誤っているかを論理立てて」など、きめ細かな指示を書き足していきました。
そして完成した結果が、「電車内での移動時間にスマホだけで問題を解き、即座に判定・解説を得られる模擬試験ツール」。 間違えると理由が返ってきて、「用語の理解があやふやなら改めて丁寧に解説してくれる」。自分の苦手分野が浮き彫りになり、短いスキマ時間で効率的に学習できたそうです。
一発合格の背後にある工夫
最終的に齊藤氏は、ギリギリながら 一発合格(703点 / 700点合格) を達成。「もし過去問がなくて挑んでいたら、自信がなく本番直前に焦っていたと思う」と振り返ります。 実際に作ってみて気づいた改善点としては、「4択回答を日本語入力すると手間が多いので、英数字だけで答えられるようにすればよかった」とか、「難易度を途中で切り替えられるようにすればさらに便利」など、実用目線での具体的なフィードバックも示されました。
齊藤氏が繰り返したキーワードは、「AIの勉強にAIを使う」というもの。単にテキストを読むだけでなく、問題演習や記述式トレーニングにも生成AIが使える可能性は大きいと強調していました。
全体を踏まえた感想:「人と仕組み」がセットで新たな価値を生む
今回のCATs #17は、営業という少し技術から離れた領域からの生成AI活用事例が並び、生成AIは“誰が何をどのようにやるか”の工夫次第で、さまざまな分野に応用できるという明確なメッセージを届けてくれました。
西川氏のケース:マニュアル整備やデータ統合などの作業にAIを組み込み、「ChatGPT+Google Apps Script」で手作業のミスや時間を大幅削減
齊藤氏のケース:過去問がないAWSの新資格に対し、ChatGPTで自作問題集を作り、スキマ時間に反復演習 → 無事一発合格
どちらも、「適切な指示(プロンプト)」と「人間がエラーや最終品質をチェックする」という組み合わせが成功のカギとなっています。 定型化しやすいタスクやトレーニングにはAIを活用し、一方で**“AIに押しつけるだけでは回らない”**部分は自分たちの知見を活かす。そんなバランスを探っていくことが、これからの取り組みでさらに重要になりそうです。
今後への期待 ―「AIの勉強にもAIが使える」学びの連鎖
全体を踏まえたまとめ
生成AIの活用は、単に文章の要約や翻訳にとどまらず、エンジニアリング要素のある自動化から学習支援ツールの作成まで発展してきています。実際の業務でどう生かすかは、「まず小さな実験を試みる→調整しながら習得する→チームで共有する」のプロセスが大切だと、今回の2つのセッションが示唆していました。
さらなる進化に向けて
今後、営業チームがリサーチ機能(ディープリサーチ)などをどこまで活用し、「提案業務の質を高めるか」や、AWS認定試験だけでなく 他資格や他分野の学習にも展開が可能なのかなど、応用範囲は広がり続けるはず。 技術者視点・非技術者視点をうまく混在させることで、より“本当に欲しい成果”につながるのだ、ということを改めて感じさせるイベントでした。
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