🤓
SRE×SESで実現する保守運用の効率化とコスト削減
公開
2025-02-22
文章量
約3215字

Yard 編集部
Yardの編集部が、テック業界の最新トレンドや知見について発信します。
みなさんは、日々の保守運用に追われて新しい改善に手が回らないと感じることはありませんか?
あるいは、大規模なシステムを安定稼働させつつコストを削減したいというジレンマを抱えていませんか?
こうした課題を解決するアプローチとして注目されているのが、SRE(Site Reliability Engineering)とSES(System Engineering Service)の組み合わせです。
本記事では、SREとSESの基本概要から、どのように組み合わせることで信頼性を高めながらコストを抑えることができるのか、その具体的な方法を解説していきます。
これからSREを採用したいと考えている方、すでにSREチームを運用している方のどちらにも役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
SREとSESの基本理解
SREとは
SREは、Googleが提唱した信頼性向上に特化したソフトウェアエンジニアリング手法です。運用の負荷を軽減しながらサービスの可用性を高めることを目的とし、SLO(Service Level Objective)やエラーバジェットといった独自の考え方を取り入れています。
従来の運用業務が「障害対応」にフォーカスしがちだったのに対し、SREは運用を自動化・標準化し、開発との距離を縮めることで効率性と信頼性を同時に追求します。
SESとは
SESは、専門的な技術者を必要な期間だけ外部からアサインしてもらうサービス形態です。エンジニア派遣や業務委託などの形で、社内にないスキルやリソースを柔軟に補うことができます。
例えば、インフラ領域の自動化やモニタリング体制構築のスキルセットを持つエンジニアが不足している場合、SESを活用することでスムーズに人材を確保できます。
SREにおけるSES活用のメリット
スキルセットの拡充による効率化
SREで重要になるのが、ソフトウェアエンジニアとしてのスキルとインフラを横断的に見る視点です。
とはいえ、ネットワークやコンテナ、セキュリティ、モニタリングなど領域は広範囲。
社内にそれぞれの専門家が揃っていればベストですが、現実的には難しいことも多いでしょう。
そこで不足するスキルをSESで補完すれば、開発と運用のどちらかに偏ることなく、バランスよくチームを強化できます。
ピーク時のリソース調整が容易
システムリリースや大規模イベントなど、一時的に負荷が高まるタイミングにはそれ相応のリソースが必要です。正社員を増やすとなると採用コストや手続き、教育などの工数が増え、リリース後に人員が過剰になる可能性もあります。
その点、SESなら必要なタイミングだけ外部リソースを投入できるため、ピークを乗り切りつつ無駄な固定費を抑えることが可能です。
コスト構造の可視化
従来の保守運用コストを削減しようとしても、何にどれだけ時間が割かれているかが不透明な場合があります。
SREでは、モニタリングや自動化によって運用上のボトルネックを可視化しますが、そこにSESの専門家の知見が加わると「このタスクはスクリプト化できる」「この作業はCI/CDパイプラインに組み込める」といった具体的な提案がしやすくなります。その結果、必要最低限のコストで安定稼働を実現できます。
具体的な技術スタック例
SREにSESの人材を活用する際、どのような技術スタックが関わってくるのでしょうか。ここでは代表的な技術例を挙げてみます。
コンテナとオーケストレーション
- Docker:コンテナ化によって開発環境と本番環境の差異を減らし、デプロイを効率化
- Kubernetes:大量のコンテナを自動的にスケーリングし、障害発生時も自己修復機能でダウンタイムを最小化
IaC(Infrastructure as Code)
- Terraform:インフラ構成をコードで管理し、環境を即座に再現できる
- Ansible:設定管理ツールとしてサーバのセットアップを自動化し、ヒューマンエラーを削減
CI/CDパイプライン
- Jenkins / GitLab CI / CircleCI:コードのビルドやテストを自動化し、本番リリースを安全かつ高速に行う
モニタリング・ロギング
- Prometheus + Grafana:メトリクスを可視化してリソース状況をリアルタイムで把握
- Datadog / New Relic:分散トレースやアプリケーションレベルの可観測性を提供
アラートとインシデント管理
- PagerDuty / Opsgenie:障害発生時のアラートを適切にルーティングし、最短時間で復旧できる体制を構築
こうした技術スタックを活用して運用を自動化・効率化するためには、幅広い領域に精通したエンジニアが必要です。
SESの力を借りれば、社内リソースだけではカバーしきれない技術領域も安心して運用に組み込めます。
信頼性向上とコスト削減を実現するポイント
1. SLOとエラーバジェットを定義する
SREの核となるのがSLO(Service Level Objective)とエラーバジェットの概念です。サービスの信頼性をどこまで担保すべきか(SLO)、その範囲内でどの程度障害を容認するか(エラーバジェット)を明確にしておくことで、運用コストを過度にかけずに信頼性を最適化できます。
SESエンジニアのサポートを受ければ、サービス特性に応じた適切なSLOを設定し、エラーバジェット運用がスムーズにまわるようにモニタリング環境の整備を短期間で進められます。
2. 自動化の優先度を見極める
SREでは、運用タスクの自動化が大きなテーマです。
しかし全てを一度に自動化しようとするとコストがかさみ、かえって混乱を招くこともあります。
SESエンジニアと連携して、効果が大きい部分から自動化を進めれば、短期間で目に見える成果を出しやすくなります。
成果を確認しながら徐々に範囲を拡大することで、無理のないスケジュールで継続的なコスト削減が可能です。
3. 障害対応のプロセスを徹底する
インシデントが起きたときの初動対応・障害原因の特定・再発防止策のプロセスを標準化・可視化することが重要です。
SESエンジニアが参加することで、外部視点ならではの課題指摘が期待できます。
たとえば、ログ収集の範囲やアラートの閾値設定など、内部メンバーでは気づきにくい改善点も発見しやすくなります。
4. スキル移転と社内教育を意識する
SESは一時的にリソースを補う手段として有効ですが、社内にノウハウを蓄積する仕組みも作っておくと、長期的なコスト削減に繋がります。
具体的には、SESエンジニアに構築してもらったシステムのドキュメント化や、運用マニュアルの整備などを徹底しましょう。
最終的には社内メンバーだけでも対応可能な状態を目指すことで、依存度を必要最低限に抑えることができます。
まとめ
SREによる信頼性向上とコスト削減を両立するためには、多岐にわたる専門スキルが必要です。
そこでSESを活用して不足リソースを柔軟に補完することで、社内チームだけでは実現しにくい開発~運用の最適化を効率的に進められます。
特に、SREの導入初期段階やピーク時のリソース調整には、SESの柔軟性と専門知識が大いに役立つはずです。
大切なのは、SESに依存しすぎず、最終的には社内にノウハウをしっかりと残すこと。
そうすれば運用コストは削減されつつ、サービスの信頼性を高い水準で保ち続けることができます。
もし「保守運用の負担が大きい」「SREを導入したいけれど社内人材だけでは心もとない」と感じている方がいれば、ぜひ一度SESの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
SREとSESをうまく組み合わせることで、保守運用の効率化とコスト削減を同時に実現し、チーム全体がより戦略的な開発活動に専念できる環境を作り上げることが可能になります。
Yardでは、テック領域に特化したスポット相談サービスを提供しています。
興味がある方は、初回の無料スポット相談をお申し込みください。
また、資料請求やお問い合わせもお待ちしております。テック領域の知見を獲得し、事業成長を一緒に実現していきましょう。