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【イベントレポート】エンジニアがチームで活躍するまでの「オンボーディング事例」~新メンバー側と受け入れ側に学ぶ~
公開
2025-02-20
文章量
約3774字
2025年1月15日 12:00-13:00、ファインディ主催でオンラインイベント「エンジニアがチームで活躍するまでの『オンボーディング事例』〜新メンバー側と受け入れ側に学ぶ〜」が開催されました。
本イベントでは、マネジメントを期待されて入社したエンジニアからスタートアップで自走するエンジニア、さらにはゲーム業界で採用からオンボーディングを設計するエンジニアマネージャーまで、多彩な視点から“オンボーディング”のリアルが語られました。
- 高い期待を持ってジョインした人材に、お手並み拝見感を出さずに早期に馴染んでもらうには?
- ドメイン知識のキャッチアップをどこまで効率よくサポートすべきか?
- 受け入れる側の設計・運用と、新メンバー側の自律的な取り組み
数多くのオンボーディングの成功ポイント、そして課題感が共有される、非常に学びの多いセッションとなりました。
LT① マネジメントを期待されて入社して オンボーディング期間に大事にしたこと(本田さん Findy)
- 背景
- マネジメント経験者として入社し、3ヶ月を目処にチームのマネージャーを引き継ぐ計画
- 「3ヶ月で成果を求められる…」という焦りが大きかった
- オンボーディングで大事にした3つのこと
- 焦らない
- 期待値が高いほど無理しがちだが、「できることを着実に積み重ねる」意識
- 定期的に上司やメンターと期待値をすり合わせ、「まずはこれを達成しよう」を小さく設定
- 自分から積極的にコミュニケーションを取る
- ドキュメントや資料だけでわからない“暗黙知”はタイムズやワンオンワンで質問
- 組織の文化(タイムズ文化)に乗っかることでスピード感あるやり取りを実現
- まずはプレイヤーとして成果を出す
- コードを大量に書く・プルリクを出すことで成功体験を作る
- 自分のエンジニアとしての実力を周囲に知ってもらえる → その後のマネジメントがやりやすくなる
- まとめ
- 「3ヶ月でマネージャーとして成立」はプレッシャーが大きいが、“小さく目標を設定”+“コミュニケーション”+“プレイヤーとしての成果”によりスムーズに移行できた
- 新メンバー側と受け入れ側、双方で期待値をすり合わせながら進めると良い
LT② 最高のオンボーディングをより最高にした話(Sansan 松原さん)
- Sansan入社直後の流れ
- 全社共通のオンボーディングプログラム「スコップ (SCoOP)」を5日間受講
- 会社カルチャー・Mission/Vision/Valueを深く理解
- 必要なツール・開発フローを一気にキャッチアップ
- 同期とも交流でき、孤独にならない
- 配属先プロダクト「Bill One」のオンボーディング
- ギットハブやGCPアカウント準備 → 開発体制の説明 → 機能開発タスクに着手
- チェックリストで抜け漏れ防止しつつ、短期間で立ち上がれる
- オンボーディング中に感じた課題
- 環境構築ドキュメントがやや outdated で詰まる箇所があった
- 運用業務が属人化しがち&新メンバーは大変
- “オンボーディングの完了状態”の定義が曖昧で、自分がどこまで学べばいいかわからない
- オンボーディングを改善したアプローチ
- オンボーディング完了状態を定量化
- チェックリストを拡充し、どの業務・技術を理解すればゴールか可視化
- 運用ガイドラインの整備
- 運用ドキュメントを構造化し、誰でも参照・更新できるように
- 環境構築ドキュメントのメンテナンスサイクルを導入
- 新規参画者が詰まった箇所をチケット起票 → Slack通知 → 担当者が修正
- “新メンバーもドキュメント改善に参加”する仕組み
- まとめ
- すでに“最高”と思っていたオンボーディング体験を、より最高にするため、定量化&継続的改善を実施
- 新メンバー側が主体的にオンボーディングへコミットできる仕組みが、さらなる向上を生む
LT③ Jibungotoを最大限発揮させて育成コストをかけないオンボーディング(Finatext 岸さん)
- Finatextグループ / インシュアテック事業
- 保険関連のSaaS「Inspire」を中心に、各種保険業務をAPI/プラットフォームとして再発明
- バックエンド/インフラエンジニアが少数精鋭で多プロジェクトを回す
- Jibungotoを最大限発揮する組織文化
- 各々が自立的に課題を捉え行動する
- “育成コストをかけない”――受け入れ体制としては、常に心理的安全性を保ちつつも、マニュアルに頼りすぎないスタンス
- “ナレッジやノウハウは個人/チームが主体的に更新” → 会社全体で継続的にドキュメントを磨く
- 2年間経験して気づいたこと
- 大企業や他社で見られるような大規模オンボーディングプロセスはない → 逆に自分で動ける方にはすごくフィット
- ドキュメントや文化的な“構造”を最低限整えておき、“自分ごと”で吸収してもらう
- 心理的安全性をしっかり保証するので、困ったら即相談できる → “任せる×支援”のバランス
- まとめ
- Finatextは「自律的に動ける人を大歓迎」、かつ“自分ごと”文化で成長をサポート
- 敢えて育成コストを大きくかけず“仲間として迎え入れる”スタンスが、ビジネススピードにも合致している
LT④ コロプラのオンボーディングを採用から語りたい(コロプラ 田中さん)
- ゲームバックエンド部の採用背景
- 大量採用より“持続的な成長”を重視
- エンジニア1人1人のスキルを高め、ゲーム開発の変化に即応できる組織を目指す
- 新規メンバーが入ることで“知見スパイラル”を大きく回したい → 採用×オンボーディングを位置づけ
- 配属先でのオンボーディングプロセス
- 技術的な必須情報(ドキュメント)は整備され、困ればすぐに再確認できる場所へ
- 機能単位の仕様はタスクをベースに都度説明(一気にすべて説明せず、行動しながら習得)
- 初期タスクは開発者向けAdmintoolなど、比較的リスクの低い領域を担当→成功体験
- 困れば設計相談・コードレビューなど積極的に巻き込む→心理的安全性の担保
- 採用との連動“期待のすれ違い”を防ぐ
- 採用過程で得た情報(候補者の得意分野、キャリアゴールなど)を現場マネージャーと共有
- オンボーディング期間における小さな成功体験を用意しやすくなる
- 最終的に“お手並拝見”感を出さずスムーズにフィット
- まとめ
- コロプラのオンボーディングは採用時の“期待”を丁寧に伝え合い、入社後タスクに落とし込む流れ
- “成功体験の積み重ね”ד設計相談やペアプロでフォロー”で、新人がゲーム開発に早期貢献できる
- 組織全体が“知見スパイラル”を太く回すための仕組みとしてオンボーディングを重要視している
Q&Aピックアップ
当日は視聴者から多くの質問が寄せられ、大きく3つのカテゴリで盛り上がりました。
- プレイヤー&マネージャー兼任のオンボーディング
- 「現場エンジニアとして成果を出しつつマネジメント期待に応えたい…どう両立?」
- → “焦らず小さな成功体験”“役割を段階的に広げる”がコツ
- 新メンバーが積極的にオンボーディング改善に参加する仕組み
- 「ドキュメントの修正トリガーをチケット起票でSlack通知」など、新メンバーだからこその気づきをすぐ反映できるようにしている事例が複数あった
- 海外エンジニアやシニア層のオンボーディング
- 「特殊なドメイン知識」「日本語の壁」などどう乗り越える?
- → 現場の心理的安全性が鍵。言語や文化に関わらず“相談しやすい空気”を作る
おわりに
今回のイベントでは、オンボーディングにおける“期待を抱えてジョインする新メンバー”と“育成や受け入れを工夫する組織側”の実例が次々と披露されました。それぞれの文化や事業内容によって最適解は異なりますが、登壇者が共通して強調していたのは以下の4点です。
オンボーディングとは、新メンバー個人が活躍するためのサポートであり、同時に組織全体に新しい知見を取り込むチャンスでもあります。
受け入れ側は仕組みを整え、新メンバー側は自ら行動を起こし、相乗効果で成長を加速させる――そんなエンジニア組織づくりにヒントが満載のイベントとなりました。
登壇者の皆様、ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました!
「自分からどんどんコミュニケーションを取り、成功体験を積み重ねる。組織はそれを温かく支援し、新たな知見を取り入れる――これこそがオンボーディングの“最高”を更新し続けるカギだと感じられました。」
もし今回の記事が気になった方は、各社のブログ・採用情報などもぜひご覧になってみてください。
今後もファインディではエンジニアの成長やキャリアに関するイベントを続々開催予定です。どうぞお楽しみに!
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