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チャットだけではもったいない!AIキャラ作りから考える さらに広がるLLMの可能性イベントレポート
イベント概要
開催日時 2025年1月15日 19:00〜20:00
登壇者
阿部 由延(@sald_ra)氏
生成AIの自作・活用に関する数々の活動(連続ハッカソン開催や同人イベント出展など)を実施
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本イベントでは、LLM(大規模言語モデル)を「チャット用途のみ」に留めるのはもったいない!という視点から、AIキャラクター(AITuber)やエンタメ分野での活用に焦点を当て、最新の事例や技術トレンドが惜しみなく語られました。
登壇者の阿部氏は、1冊目の著書『AITuberを作ってみたら 生成AIプログラミングがよくわかった件』でAIを使ったVTuberの構築を解説。
本イベントで紹介された2冊目の著書『AITuberを作ってみたら プロンプトエンジニアリングがよくわかった件』(通称:“バプロンプト本”)では、さらに「AIキャラ設計×LLM×プロンプト活用」を深堀りし、AIが持つエンタメ的可能性を提示しています。
1. AITuberづくりを超えた“AIキャラクター”の創造
まず阿部氏が強調したのは、「LLMを使ったAITuber」はあくまで入り口でしかなく、AIキャラはもっと多様な形で活用可能という点。
1冊目の水色本: オープンAIのAPIを使って「VTuber×LLM」の基礎実装方法を解説。
2冊目の“バプロンプト本”: プロンプトエンジニアリングの考え方や、キャラクター自身の設定・発信方法を具体的に案内。「AITuber」以外にも、SNS投稿自動化、ブログ執筆、日記の印刷など幅広い活用が可能。
2. LLM×エンタメは想像以上に多彩
阿部氏は、ChatGPTやClaude等の「チャットツール」としての利用だけにとどまらない、さまざまな事例を紹介。
ゲーム実況/ゲームプレイ
代表例: Twitchで活躍したAIストリーマー「Neuro-sama」や、Minecraftの世界をAIエージェントが探索・行動する「Voyager」など。
開発のヒント: OpenAI Gym, MineRL, 過去には教科学習を活用。
配信×インタラクティブアート
AIキャラが視聴者コメントで成長したり、リアルタイムにお金を使ったりする演出が多数。
ハイパーカジュアルゲーム化する例や「AIつなちゃん」など、インタラクション自体をエンタメ化する取り組みが増加。
リアル展示・競馬予想など
「生成AIなんでも展示会」でのアート作品連動や、AIの競馬予想に人が乗っかるなど、新感覚イベントが続々。
3. “AIキャラ”を育む技術ピックアップ
(1) AIエージェント: LangChainやAuto-GPT, Browser-LLM 等
LLMが外部ツールを呼び出して、ブラウザ操作やPC操作を自動化。
例: 「コンピューターユーズ」でLinuxアプリを操作して検索・メモ書き、「ブラウザーユーズ」でWebフォーム操作…など。
AIキャラが実際に「調べ物」や「PC操作」まで行う配信が可能に。
(2) 世界環境との連携
OpenAI Gym, MineRL, Gymnasium: ゲーム環境(Atari, Minecraftなど)をAIエージェントが学習・操作。
キャラがゲーム内で活躍→配信視聴者が応援→新しいファン体験を創造。
(3) タッチデザイナー: 演出をノードベースで構築
背景やエフェクト、トランジションなど、高度なビジュアル演出をプログラミングなしで直感的に作成。
LLMからの感情値やトリガーを受け取り、照明・色彩・ノイズ演出などをダイナミックに変更。
OBSで配信するだけの時代を超え、複雑な表現×AIキャラが実現可能。
4. AIキャラの“理想像”を現実に寄せるには?
阿部氏いわく、技術的には「何でもできる」段階に近づきつつある一方、重要なのは 「何をやりたいか」 というビジョン。
AITuberの応答をただ自動化するだけでなく、タッチデザイナー等での演出や、現実世界への出力(印刷や手紙など)を工夫すれば、オリジナリティが一気に上がる。
“自分が目指す理想のシーン”を妄想→そこに必要な技術を繋ぎ合わせることで、「LM×エンタメ」本来の面白さが生まれる。
5. ローカルLLMもアツい?
ChatGPTやClaude等APIベースは便利だが、「ローカルモデル(例: GGUFファイル)」なら、規制や縛りなく、モデル自体を“自分のもの”にできる。
確率値や生成プロセスを取得できるメリットも。
一方で学習コストやパフォーマンス、扱いの難しさも大きい。
とはいえ「モデルを丸ごと所有するロマン」は今後のエンタメ表現でも大きな可能性を秘めている。
Q&Aピックアップ
Q1. LLMに「日本的なお笑い・冗談」を言わせたい
阿部氏: まずは「モデル選び」で差が出る可能性。学習コーパスの違いによる表現力の差が大きい。
“面白さ”を定義するのは難しく、成功例のトークサンプルを集めて学習させる/プロンプトでガイドするなどを試してみるのが現実的。
Q2. AIキャラによる「心理カウンセリング」は可能?
阿部氏: リスクが高い領域。医療や心理専門家の監修なしで行うと危険度大。あくまで「雑談」や「占い」程度に留めるか、きちんと専門家を入れる必要がある。
Q3. AITuberへの“長期記憶”はうまく機能する?
阿部氏: ベクトルDB等で過去の会話ログを蓄積→プロンプトチェイニングで引っ張る構成は有効。ビッグデータを扱うにはマルチモーダルLLMや大容量コンテキストのモデル活用もポイント。
Q4. ローカルモデルの利点は?
阿部氏: モデルそのものを完全に所有できる点。規制回避やモデル内部を細かく制御可能。確率値を参照し、 「自信が無いなら黙る」 などの高度な仕掛けも可能。
デメリットとして、学習コストやGPUパワーが必要、APIモデルほどの安定度はないケースが多い。
まとめ:LLM×エンタメの無限の可能性
チャット用途だけでなく、AIキャラの演出・ゲーム操作・現実世界への出力(手紙・印刷)まであらゆる形でLLMが活かせる時代。
“AITuber”づくりのノウハウは、ほんの入り口。エージェント技術・タッチデザイナー等の演出ツールを組み合わせれば、これまでにない形のAIエンタメが生まれる。
大切なのは「自分は何をやりたいのか」。技術の組み合わせでアイデアを“現実”に寄せるのが、これからのLLM活用の要。
書籍『AITuberを作ってみたら プロンプトエンジニアリングがよくわかった件』は、LLMベースのキャラクター設計から、多彩な発信手法を実際のコード・サンプル込みで解説。AIエンタメやAIキャラを始めたい方に最適の入門書です。
是非、皆さんも「チャットだけじゃもったいない」世界に飛び込んで、新しいAIキャラクターの可能性を体感してみてください!
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