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2025-02-01
2025-02-02
約3160字
Yard 編集部
クラウド活用が進む中で、AWS(Amazon Web Services)を利用する企業やエンジニアが増えています。
しかし、クラウドは「導入すれば自動的にセキュリティが担保される」わけではありません。AWSには「責任共有モデル」という考え方があり、AWS側が担うセキュリティと利用者側が担うセキュリティが明確に分かれています。
本記事では、この責任共有モデルの概要と具体的なセキュリティ対策のポイントを解説します。
AWSの責任共有モデルは、大きく「AWS側が担保する責任範囲」と「利用者が担保する責任範囲」に分かれています。
これは誤解されがちなポイントでもあるため、しっかり区別して理解することが重要です。
AWSが担うのは、クラウド基盤そのものに関するセキュリティです。具体的には以下のようなものが含まれます。
これらはAWSの管理下で運用されており、利用者が直接関与する必要はありません。
一方で利用者側の責任範囲は、主に「クラウド上で動作するシステムの設定・運用」に関わる部分です。たとえば以下のような項目が含まれます。
これらはAWS自体がカバーしないため、利用者が定期的に見直しながら運用する必要があります。
AzureやGCPでも、同様に「プロバイダが担う範囲」と「利用者が担う範囲」が定義されています。
共通して言えるのは「クラウドプロバイダはプラットフォーム全体のインフラを守るが、その上で何をどう動かすかは利用者の責任」という点です。
責任共有モデルを理解するうえで、特に重要なポイントを整理します。
AWS公式ドキュメントでは、「Security OF the Cloud(AWSが提供するインフラのセキュリティ)」と「Security IN the Cloud(利用者が行うシステムのセキュリティ)」という言い方をしています。前者はAWSが担保し、後者は利用者が担保するという役割分担があると覚えておきましょう。
責任共有モデルでありがちな誤解は「AWSを使っているからセキュリティは大丈夫」と思い込むことです。
AWSがインフラを管理してくれる反面、OSやアプリケーションレベルの設定ミスや脆弱性対応は利用者側に責任があるため、注意が必要です。
AWSには、利用者のセキュリティ対策を支援するさまざまなサービスや機能が用意されています。ここでは代表的な例を取り上げます。
IAM(Identity and Access Management)は、AWSリソースへのアクセスを制御する重要なサービスです。最小権限の原則に基づき、ユーザーごとに必要な権限だけを付与することで、不用意な情報漏洩や誤操作を防ぎます。
また、MFA(Multi-Factor Authentication)を有効化して不正アクセスリスクを減らすのも有効です。
Amazon VPC(Virtual Private Cloud)を利用し、プライベートサブネットとパブリックサブネットを適切に分割することで、インターネット上に直接公開するリソースと社内システムだけがアクセスできるリソースを区別できます。
セキュリティグループとネットワークACLを併用し、ポートやプロトコル単位で通信を制御することが推奨されます。
これらを活用することで、不審な動きや異常を早期に検知・対応できます。
暗号化とバックアップは責任共有モデルの利用者側範囲ですが、これらの機能を使えば運用の手間を大きく削減できます。
AWSを活用するうえで、利用者が押さえておくべき注意点を挙げます。
S3バケットのパブリックアクセス設定や、セキュリティグループの全ポート開放など、初歩的なミスで情報漏洩のリスクが生じます。
IaC(Infrastructure as Code)ツールやテンプレートを活用し、設定の標準化とレビュープロセスを設けることが重要です。
IAMは一度設定して終わりではなく、利用状況や組織変更に応じて定期的に見直す必要があります。
不要なユーザーや権限が残っていると、思わぬセキュリティホールとなる可能性があります。
セキュリティ対策を強化するほどコストが上昇するケースもあります。
監視やバックアップの頻度や範囲を適切に設定し、自社のリスク許容度と予算のバランスを取りながら最適化しましょう。
こうした事例は、「AWS=セキュリティは万全」と誤解したり、運用管理フローが不十分だったりすることが原因で起こりがちです。
AWSの責任共有モデルは、クラウドプロバイダであるAWSがカバーする範囲と利用者が対処すべき範囲を明確に示しています。
AWSによる強固なインフラセキュリティは大きな利点ですが、アプリケーションやOS、ネットワーク設定などは利用者が責任を持って管理しなければなりません。
本記事で紹介したセキュリティサービスやチェックリストを活用しながら、自社のシステムを定期的にレビュー・改善していくことが、安全で効率的なAWS運用につながります。
ぜひこの特性を理解し、適切なマネージドサービスを選定・活用しましょう。
本記事を参考に、AWS上でのセキュリティをしっかりと確立し、安心してクラウドのメリットを享受していただければ幸いです。
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