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GoはLLM時代最高の言語だ!並行処理でAPIリクエストの壁をぶち破れ🎉
まとめ
LLMエージェント開発では、連続したAPIリクエストがパフォーマンスのボトルネックになりがち...
Goのgoroutineを使えば、スレッドをブロックせずにサクサク並行処理できる!
TypeScript(Node.js)の
Promise.all
などと比較しても、Goの並行処理はシンプルで強力なんです🙌
どんな人向けの記事?
LLMを使った自律型エージェントやAIアプリケーションの開発に興味がある方
APIリクエストのパフォーマンスに悩んでいるバックエンドエンジニア
Goの並行処理(goroutineやchannel)の具体的な活用例を知りたい方
TypeScript/Node.jsでの非同期処理に限界を感じ始めている方
はじめに:LLMエージェント開発、APIリクエストの多さにつかれてない?
最近、LLMを使った自律型エージェントの開発がめちゃくちゃ盛り上がっていますよね!ぼくもその一人で、色々なアイデアを試しているところです。
エージェントに複雑なタスクを任せようとすると、思考の連鎖を実現するために、どうしてもLLMへのAPIリクエストを連続で、あるいは並列でたくさん叩く必要が出てきます。例えば、複数の情報ソースからデータを集めて、それぞれを要約してから最終的な判断を下す、みたいなシナリオです。
でも、これって結構パフォーマンスのボトルネックになりませんか?
たとえばTypeScript(Node.js)だと、Promise.all
で頑張ってはみるものの、リクエスト数が増えてくると、なんだか動きがもっさりしてきたり、複雑なエラーハンドリングに頭を悩ませたり...。「うーん、もっとこう、サクッと書けて爆速で動くやつないの!?」って思っちゃいます。
あるんです。そう、Goならね。
ということで、この記事では、なぜGo言語がLLM時代のバックエンド開発、特にAPIリクエストが多いシナリオにおいて「最高の言語」だと言えるのか、その心臓部である並行処理の仕組みを、具体的なコードを交えながら徹底解説していきます!
なぜGoの並行処理はすごいのか?goroutineとchannelの基本
「Goの並行処理がすごい!」と言われても、ピンとこない方もいるかもしれません。大丈夫です、めちゃくちゃシンプルなので安心してください。
Goの並行処理を支える主役は、**goroutine(ゴルーチン)とchannel(チャネル)**の2つです。
goroutine:超軽量な働き者たち
goroutineは、一言でいうと「めちゃくちゃ軽量なスレッド」みたいなものです。OSが管理する通常のスレッドよりもずっと少ないメモリで動くので、数千、数万といった単位でガンガン起動しても全然平気。
そして何より驚くべきは、その手軽さです。関数の呼び出しの前にgo
と書くだけ。たったこれだけで、その関数は非同期な処理として、他の処理をブロックすることなく実行されます。
func say(text string) {
fmt.Println(text)
}
func main() {
go say("Hello") // これだけで非同期実行!
say("World")
}
簡単すぎて、逆に不安になるレベルですよね😉
channel:goroutine間の安全な連絡通路
「でも、非同期で実行した処理の結果ってどうやって受け取るの?」と思いますよね。そこで登場するのがchannelです。
channelは、goroutine間でデータを安全に送受信するための「連絡通路」のようなものです。あるgoroutineがchannelにデータを送信(<-
)すると、別のgoroutineがそのデータを同じchannelから受信(<-
)できます。
func main() {
// string型の値をやり取りできるchannelを作成
messages := make(chan string)
// goroutineの中で"Ping!"というメッセージをchannelに送信
go func() { messages <- "Ping!" }()
// channelからメッセージを受信
msg := <-messages
fmt.Println(msg) // "Ping!"と表示される
}
このchannelの素晴らしいところは、データの送受信が完了するまで処理がブロックされる(待ってくれる)点です。これにより、複雑なロック処理などを書かなくても、複数のgoroutine間で安全にデータを同期させることができます。
従来のマルチスレッドとの違い
ここで、従来のマルチスレッドモデルとGoのgoroutineモデルの違いを、mermaid図でざっくり見てみましょう。
graph TD
subgraph 従来のマルチスレッド
A[OSスレッド1] -- 時間のかかる処理 --- A_BLOCK(ブロック!)
B[OSスレッド2] -- 別の処理 --- B_OK
C[OSスレッド3] -- さらに別の処理 --- C_OK
end
subgraph Goのgoroutineモデル
D[OSスレッド1]
D -- goroutine1(待機中) & goroutine2(実行中) & goroutine3(実行中)
end
subgraph 説明
Note1("従来のモデルでは、I/O待ちなどで1つのスレッドがブロックされると、そのスレッドは他の仕事ができない。")
Note2("Goでは、1つのgoroutineがI/O待ちでブロックされても、Goのランタイムが同じOSスレッド上で他のgoroutineを動かしてくれる。リソースを無駄にしない!")
end
この「ブロックさせない」仕組みが、ネットワーク越しのAPIリクエストのように、待ち時間が多く発生する処理で絶大な効果を発揮するんです。
実践!LLMエージェントを想定したAPIリクエストの並行処理
では、いよいよ本題です。LLMエージェントが複数のタスクを並行して処理する、というシナリオを考えてみましょう。
シナリオ: 3つの異なるプロンプトをLLM APIに同時にリクエストし、すべての結果が揃ったら次の処理に進む。
比較対象:TypeScript (Node.js) での実装
まずは、比較のためにTypeScriptで書いた場合のコードを見てみましょう。Promise.all
を使うのが一般的ですね。
import fetch from 'node-fetch';
const LLM_API_ENDPOINT = 'https://api.example.com/generate';
async function callLlmApi(prompt: string): Promise<string> {
console.log(`リクエスト開始: ${prompt}`);
// ネットワーク遅延をシミュレート
await new Promise(resolve => setTimeout(resolve, Math.random() * 1000));
const response = `「${prompt}」に対する結果`;
console.log(`リクエスト完了: ${prompt}`);
return response;
}
async function main() {
const prompts = [
"今日の天気について教えて",
"Go言語の面白いトリビアを3つ挙げて",
"最高の朝食のレシピを提案して"
];
console.time("実行時間");
try {
const results = await Promise.all(
prompts.map(prompt => callLlmApi(prompt))
);
console.log("\n--- すべての結果 ---");
results.forEach(result => console.log(result));
} catch (error) {
console.error("エラーが発生しました:", error);
}
console.timeEnd("実行時間");
}
main();
このコードはシンプルで分かりやすいですが、Node.jsの非同期処理は内部的に固定数のスレッドプールで動いています。非常に多くのリクエストを同時に捌こうとすると、パフォーマンスに限界が見えてくることがあります。
本命:Goでの実装
次に、同じことをGoで実装してみましょう。ここではsync.WaitGroup
を使って、すべてのgoroutineが完了するのを待ちます。
package main
import (
"fmt"
"math/rand"
"sync"
"time"
)
func callLlmApi(prompt string, wg *sync.WaitGroup, results chan<- string) {
defer wg.Done() // 関数が終了したらWaitGroupのカウンタをデクリメント
fmt.Printf("リクエスト開始: %s\n", prompt)
// ネットワーク遅延をシミュレート
time.Sleep(time.Duration(rand.Intn(1000)) * time.Millisecond)
response := fmt.Sprintf("「%s」に対する結果", prompt)
fmt.Printf("リクエスト完了: %s\n", prompt)
results <- response // 結果をchannelに送信
}
func main() {
prompts := []string{
"今日の天気について教えて",
"Go言語の面白いトリビアを3つ挙げて",
"最高の朝食のレシピを提案して",
}
startTime := time.Now()
var wg sync.WaitGroup
results := make(chan string, len(prompts)) // 結果を格納するバッファ付きchannel
for _, prompt := range prompts {
wg.Add(1) // WaitGroupのカウンタをインクリメント
go callLlmApi(prompt, &wg, results)
}
// すべてのgoroutineが完了するのを待つ
wg.Wait()
close(results) // すべての送信が終わったのでchannelを閉じる
fmt.Println("\n--- すべての結果 ---")
for result := range results {
fmt.Println(result)
}
fmt.Printf("実行時間: %v\n", time.Since(startTime))
}
どうでしょうか? go callLlmApi(...)
の部分で、ループを回しながら次々と非同期処理を開始しています。Promise.all
のように一度にすべての処理を定義する必要はなく、より柔軟に並行処理を追加できるのが魅力です。
そして、wg.Wait()
で全処理の完了を待ち、results
チャネルから安全に結果を一つずつ取り出しています。コードの見た目は少し変わりますが、やっていることのロジックは非常に明快です。
Goを選ぶことのメリットまとめ
このシナリオにおいて、Goを選ぶことのメリットを整理してみましょう。
観点 | メリット |
---|---|
パフォーマンス | goroutineは超軽量。数千の並行リクエストも少ないリソースで効率的に捌ける。OSスレッドを無駄にブロックしないため、I/Oバウンドな処理(まさにAPIリクエスト!)で高いスループットを実現。 |
開発者体験 |
のネスト地獄から解放される。並行処理のロジックが
キーワードと
で直感的に書ける。エラーハンドリングも各goroutine内で完結させやすい。 |
スケーラビリティ | CPUコアを効率的に使い切る設計になっているため、マシンの性能を最大限に引き出せる。LLMエージェントがより複雑化し、リクエスト数が増えてもスケールしやすい。 |
もちろん、TypeScript/Node.jsのエコシステムや書きやすさにも大きな魅力があります。しかし、LLMのように応答時間が予測不可能で、かつ大量のAPIリクエストを捌く必要があるアプリケーションのバックエンドにおいては、Goの並行処理モデルが提供するパフォーマンスと堅牢性は、何物にも代えがたい強力な武器になるんです!
まとめと今後の展望
今回は、なぜGoがLLM時代の最高の言語となりうるのか、その理由を並行処理の観点から解説しました。
goroutineを使えば、
go
キーワード一つで超軽量な並行処理を簡単に実現できる。channelを使えば、複数のgoroutine間で安全かつシンプルにデータのやり取りができる。
この仕組みにより、LLMへの大量のAPIリクエストのようなI/Oバウンドな処理を、驚くほど効率的に捌ける。
LLMの進化は止まりません。これから、さらに高度で複雑な自律型エージェントが次々と登場することでしょう。その時、バックエンドのパフォーマンスとスケーラビリティは、サービスの質を決定づける重要な要素になります。
そんな未来を見据えたとき、Go言語を学んでおくことは、エンジニアとして非常に強力なアドバンテージになるはずです。
ぜひ皆さんも、Goで快適なLLMエージェント開発を体験してみてください!この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば、めちゃくちゃ嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました! この記事が面白かった、役に立ったという方は、ぜひLikeをお願いします!🙏
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