⛅
【クラウド専門家への道】インフラエンジニアからクラウドアーキテクトに進化するための資格と実務経験
公開
2025-02-25
文章量
約4603字
インフラエンジニアとして経験を積んでいると、次のキャリアステップとして「クラウドアーキテクト」という選択肢が浮かぶ方も多いでしょう。
オンプレミス環境ではなく、AWSやAzure、GCPといったクラウドプラットフォームでのシステム設計・運用に重きを置くクラウドアーキテクトの仕事は、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、ますます需要が高まっています。
この記事では、インフラエンジニアからクラウドアーキテクトへ進化するために必要な資格や実務経験について、具体的な技術スタックを交えながら解説していきます。

クラウドアーキテクトとは何か?
クラウドアーキテクトは、企業や組織がクラウドを活用したシステム基盤を設計・構築し、最適に運用できるようにリードする専門家です。
以下のような業務が主な担当領域となります。
- 要件定義と設計:アプリケーション要件やセキュリティ要件を整理し、クラウドプラットフォーム上でどのように構成すべきかを考える。
- プロビジョニングと運用:インフラやミドルウェアをクラウド環境にデプロイし、適切に運用・監視する。
- コスト最適化とパフォーマンスチューニング:クラウドサービスは使い方次第でコストが大きく変わるため、効率的な設計と運用手法を提案する。
- セキュリティ設計:各クラウドベンダーのセキュリティ機能を理解し、堅牢な環境を構築する。
これらの業務は、オンプレミスのインフラ構築経験とクラウド特有の知識やスキルの両方が欠かせません。
インフラエンジニアとしての経験がある方なら、基礎的なネットワークやサーバーの知識はすでに持っているはず。
その上にクラウドサービスや最新の技術スタックを積み上げることで、クラウドアーキテクトへと進化しやすくなります。
インフラエンジニアからクラウドアーキテクトへ進化するメリット
クラウドアーキテクトは、今後も企業のデジタルシフトを支える重要なポジションであることが予想されます。
インフラエンジニアからクラウドアーキテクトへキャリアアップするメリットとして、次の点が挙げられます。
- 需要の高さ:クラウド導入を加速する企業が増えており、専門知識を持った人材不足は依然として深刻。
- スキルセットの拡張:従来のネットワークやサーバー知識に加え、クラウドサービス(AWS、Azure、GCPなど)の理解が広がる。
- 収入アップが期待できる:高度な専門性を求められる職種であるため、待遇が向上しやすい。
- 柔軟な働き方:クラウド環境はリモート管理が容易なため、テレワークやフレックスなど働き方の選択肢が増えやすい。
このように、オンプレミスに限定されず、クラウドの知識・スキルを獲得することで、キャリアの幅が大きく広がります。
クラウドアーキテクトを目指すための主な資格
クラウドアーキテクトへの道を考える上で、資格は強力なアピール材料になります。
もちろん資格だけでは不十分ですが、体系的に知識を身につけ、対外的にもスキルを証明できるため取得を検討する価値は大いにあります。
AWS
- AWS Certified Solutions Architect – Associate:AWSが提供する資格の中でも代表的なもの。基本的なAWSサービスの知識、設計パターン、セキュリティやコスト管理について問われます。インフラエンジニアが最初に狙うAWS資格としても人気です。
- AWS Certified Solutions Architect – Professional:Associateよりも高度な設計力や運用ノウハウが求められます。大規模かつ複雑なアーキテクチャ設計の知識や、複数のサービスを組み合わせて最適化する能力が問われます。
Azure
- Microsoft Certified: Azure Solutions Architect Expert:Azure環境でのネットワーク・コンピューティング・データベース・セキュリティなどを包括的に扱います。Azureサービスの設計からデプロイ、オペレーションに至る幅広い知識が必要です。
GCP
- Google Cloud Professional Cloud Architect:Google Cloud Platform全体のアーキテクチャ設計や運用に関する理解を証明できます。ビジネス要件のヒアリングからソリューション提案、セキュリティや運用方針など、総合的な能力が問われます。
これら以外にもDevOpsエンジニア系の資格やコンテナ・セキュリティ関連の資格などが存在しますが、まずはメインのクラウドベンダーが提供するアーキテクト系資格を軸に考えるとよいでしょう。
必須となる実務経験とスキルセット
資格取得を目指しながら、実際のクラウド環境で手を動かす経験が非常に重要です。資格学習だけでは得られないノウハウを蓄積し、トラブルシューティングやデザインパターンの現場感覚を身に付けましょう。
クラウドサービスの基礎知識
- AWS: EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージ)、RDS(データベース)、VPC(ネットワーク)など。
- Azure: Virtual Machines、Azure Storage、Azure SQL Database、Azure Virtual Networkなど。
- GCP: Compute Engine、Cloud Storage、Cloud SQL、VPC Networkなど。
これらはオンプレでの仮想サーバーやストレージに相当する基本サービスなので、使い方をしっかり理解し、自分で触ってみることが大切です。
インフラ構築の自動化・IaC(Infrastructure as Code)
大規模なシステムや頻繁なリリースが求められる現場では、手動でサーバーを構築する時代は終わりを迎えつつあります。次のようなツールを活用し、コードによるインフラ管理を習得しましょう。
- Terraform:クラウドベンダーを横断してインフラをコード化できる人気ツール。
- AWS CloudFormation:AWS専用のIaCツール。サービスとの親和性が高い。
- Azure Resource Manager (ARM) Templates:Azure環境向けのテンプレート管理。
- Google Cloud Deployment Manager:GCPのIaCツール。
IaCを使うことで、クラウドリソースのバージョン管理や再現性の確保が容易になり、セキュリティや可用性を高める設計・運用が実現しやすくなります。
コンテナとオーケストレーション
近年では、クラウドアーキテクチャにおいてコンテナ技術が主流になりつつあります。特に重要なのは以下の技術です。
- Docker:コンテナのパッケージングやコンテナイメージの作成に必須。
- Kubernetes:コンテナのデプロイやスケーリング、ロードバランシングなどを一括管理できるオーケストレーションツール。AWSやAzure、GCPでもマネージドサービス(EKS、AKS、GKE)が提供されています。
コンテナ技術を導入するメリットは、アプリケーションの移行やスケーリングが柔軟かつ高速にできる点です。クラウドネイティブな運用には切っても切れない存在なので、ぜひ習熟しておきたい分野です。
セキュリティとガバナンス
クラウド導入を進める企業が一番気にするのがセキュリティです。オンプレミスとは異なる責任共有モデルの考え方や、クラウドサービス特有のセキュリティ設定が必要になります。
- IAM(Identity and Access Management):AWS IAMやAzure RBAC、GCP IAMの理解が不可欠。
- ネットワークセキュリティ:VPCやサブネット、セキュリティグループ、ネットワークポリシーなどの設定。
- ログモニタリング:CloudWatchやAzure Monitor、Stackdriverなどを活用し、リアルタイムで監視・アラートする仕組みづくり。
さらに、ガバナンスやコンプライアンスに関するベストプラクティスも押さえておくと、クラウドアーキテクトとしての信頼が高まります。
実務経験を積むためのアプローチ
資格学習と並行して、できるだけ早く実務でクラウドを扱う機会を増やすことが上達の近道です。具体的には次のようなアプローチがおすすめです。
- 小規模プロジェクトで導入を提案:インフラ全てをクラウドに移行できなくても、一部サービスや環境だけでもクラウドを活用してみる。
- サイドプロジェクトで検証:業務外でも個人で検証環境を立ち上げたり、Docker+Kubernetesでアプリを動かしたりする。
- OSSコミュニティへの参加:KubernetesやTerraformなどのコミュニティで最新のノウハウを吸収。
- 自社のクラウド移行プロジェクトに積極的に参画:設計や構築フェーズに関わることで、実地でスキルを習得する。
とにかく手を動かすことが大切です。机上の知識だけではカバーしきれないハマりどころや、運用のコツがたくさんあるためです。
キャリアパスの描き方とアドバイス
インフラエンジニアとして経験を積んだ後、クラウドアーキテクトを目指す過程で意識しておきたいポイントをまとめます。
- メインのクラウドプラットフォームを絞る:AWS、Azure、GCPすべてを網羅するのは理想ですが、最初から手を広げすぎると身につきにくい面もあります。自社やプロジェクトで最もよく使うプラットフォームから入り、徐々に他ベンダーへ拡張していくのもありです。
- 資格取得で体系的に学ぶ:資格対策の勉強を通じて、必要な知識を全体的に俯瞰できるのはメリットが大きいです。勉強→実務→また勉強のサイクルを回すことで、理解が深まりやすくなります。
- DevOpsやSREの要素も取り入れる:クラウド運用は「設計して終わり」ではなく、継続的な改善とオートメーションが求められます。CI/CDや監視、運用自動化など、DevOpsやSREの考え方も吸収しておきましょう。
- チームやプロジェクトをリードする意識:インフラエンジニアは現場作業に没頭しがちですが、クラウドアーキテクトとしては技術選定や設計方針の決定に大きく関わるため、プロジェクト全体を見渡す視点が求められます。
まとめ
クラウドアーキテクトは、クラウドの専門知識とインフラのベーススキルを融合させた総合力が求められる職種です。
インフラエンジニアとして培ってきたネットワークやサーバーの経験は、クラウドの世界でも確かな土台となります。
そこに加えて、AWSやAzure、GCPの認定資格を通じて得られる体系的な理解や、IaC、コンテナ、セキュリティといった最新技術へのキャッチアップが重要です。
「実務で手を動かす」→「資格学習で体系的に整理」→「また実務で試す」というサイクルを回すことで、より早くクラウドアーキテクトとして成長できるでしょう。
今後もクラウドシフトの流れは加速すると予想されるため、早い段階でクラウド関連のスキルを習得しておくことで、キャリアの選択肢や可能性が大きく広がります。
クラウドアーキテクトという新たな役割に挑戦し、次世代のITインフラを支えるスペシャリストを目指してみてはいかがでしょうか。
Yardでは、テック領域に特化したスポット相談サービスを提供しています。
興味がある方は、初回の無料スポット相談をお申し込みください。
また、資料請求やお問い合わせもお待ちしております。テック領域の知見を獲得し、事業成長を一緒に実現していきましょう。