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【徹底解説】ゼロから始めるデザイン組織:理想のチーム構築とデザインシステム導入ガイド
公開
2025-02-24
文章量
約3364字
はじめまして。デザイナーのみなさん、そしてデザイナーを率いるリーダーや経営者のみなさん。
この記事では、まだデザイン組織が整っていない状態(0)から1へ、さらにそこからスケールさせていくために必要な知見をまとめました。私自身、スタートアップや大企業などでプロダクトデザイナーとしてチームの立ち上げに関わってきた経験があり、その中で「ちゃんとしたデザイン組織を作りたいのに、どうしたらいいかわからない」という声を多く聞いてきました。
そんな方々に少しでもヒントをお届けできれば嬉しいです。

デザイン組織の0→1が重要な理由
まず、組織全体で「デザインの価値」が明確に共有されていないと、デザイナーが孤立しがちです。
企業のミッションに沿ったデザインを実現するためには、単にUIを美しく整えるだけでなく、UX全体を設計し、開発チームや経営層とも密に連携する仕組みが必要になります。
しかし最初はデザイナーが一人、もしくは少人数で始まるため、どうしてもリソース不足や孤立が起こりがち。
そこで、あらかじめデザイン組織の土台をしっかり作ることで、今後スケールしたときにも連携ロスを最小限に抑え、チーム全体でより効果的なプロダクト開発が可能になります。
理想的なチーム構成とは
デザイナーの役割分担
デザイン組織を立ち上げる際、まずは役割の分担を明確にすることが大切です。
ひと口にデザインといっても、UI/UXデザイン、グラフィックデザイン、ブランディング、ユーザーリサーチなど、その領域は多岐にわたります。
最初のフェーズでは、一人のデザイナーが複数領域を兼務せざるを得ないケースが多いですが、チームが成長していくに連れ、UI専門、UXリサーチ専門といった形で専門化した人員が増えていくでしょう。
人員の拡大フェーズに入る前に、自社のプロダクトやサービスにどんなデザインスキルが重要かを見極めておくことが肝心です。
エンジニアとの共同体制
デザイン組織が単独で成果を出すことは難しく、エンジニアチームとの連携が欠かせません。理想は、デザインとエンジニアが同じゴールを共有し、要件定義やリリース後のフィードバックまでを一緒に行う体制です。
たとえばデザインカンプを共有するだけでなく、実際にデザイナーがコードに触れたり、エンジニア側もデザインレビューに参加するなど、職種の境界をなるべく柔軟にすると意思決定がスムーズに進みます。
ビジネスサイドとの橋渡し
デザインはときにアートと混同されがちですが、プロダクト開発においてはビジネスインパクトを伴う仕事です。
ビジネスサイド(経営層や営業、マーケティングなど)との目線合わせや期待値調整も、デザイン組織のリーダーには重要な責任になります。
特に、デザインの意義を理解しづらい経営層やクライアントに対しては、定量的・定性的な指標で成果を見せることが効果的です。
KPIやユーザー調査結果を示すことで、デザインがどのようにビジネス成長に貢献しているかをわかりやすく説明できます。
デザインシステム導入のメリットとポイント
デザインシステムとは
デザインシステムとは、UIコンポーネントやガイドライン、スタイルガイドなどを包括的にまとめた仕組みのことです。
たとえばボタンやフォーム、配色ルール、タイポグラフィなどを一元管理することで、一貫性のあるUIを作りやすくし、開発とデザインのコミュニケーションコストを下げます。
0→1のフェーズだからこそ、はじめからある程度のコンポーネント整理を意識しておくと、後の拡張がとても楽になります。
導入のタイミング
デザインシステムの導入は、できるだけ早い段階で検討するのが理想です。しかし、初期段階ではプロダクト自体の仕様や方向性が固まっていないことも多いので、最低限のアトム・分子レベルのコンポーネント(例:ボタン、アイコン、テキストフィールドなど)から始めましょう。
ある程度UIパターンが固まってきたら、デザインシステムを拡充してドキュメント化するステップに進みます。ここで大切なのは、完璧を目指さずに運用しながら改善していくことです。
運用とメンテナンス
デザインシステムは作って終わりではなく、チーム全体で継続的にメンテナンスしていく必要があります。プロダクトが成長するに伴い、新しいUIパターンが増えたり、ブランドの方向性が変わったりすることもあります。そういった変更を吸収しながら、デザインシステムを常に最新状態に保ちましょう。
運用のポイントは、デザインシステムを単にルールブックとして押し付けるのではなく、チームメンバーにとって使いやすい「生きたドキュメント」にすることです。
具体的な技術スタック例
ここでは、デザイン組織の立ち上げでよく利用される技術スタックやツールについて、いくつか具体的な例を挙げます。
デザインツール
- Figma: ブラウザベースで共同編集がしやすい。プロトタイピング機能も充実。
- Sketch: Macでのデザイン作業に特化。プラグインが豊富。
- Adobe XD: Adobe製ツールとの連携がしやすい。軽快で扱いやすいUI。
デザインシステム管理
- FigmaのTeam Library: コンポーネントやスタイルをチームで共有可能。バージョン管理も比較的簡単。
- Storybook: ReactやVueなどのコンポーネントを実際のコードを使ってカタログ化できる。チーム全員がUIの状態を確認しやすい。
- Zeplin: デザインカンプと開発をつなぐブリッジ。開発者へのアセット配布が便利。
開発フレームワーク・言語
- React + TypeScript: UIコンポーネントの再利用性や保守性が高く、デザインシステムとも相性がいい。
- Vue + Nuxt.js: 軽量で扱いやすく、日本国内でも人気。
- Next.js: Reactベースのフレームワーク。SSR(サーバーサイドレンダリング)対応でSEOにも強い。
デザインと開発をいかにシームレスにつなぐかがポイントなので、コンポーネントの再利用性やデザインとコードのズレを最小化するフローを意識するとよいでしょう。
チームビルディングにおけるポイント
小さく始めて少しずつ拡大
はじめから完璧なチーム構成やデザインシステムを作ろうとすると、スピード感が落ちるだけでなく、組織が硬直化しがちです。
まずは最小限のメンバーで試行錯誤しながらプロダクトを成長させ、その過程で「ここは専門家が必要」「もっと効率的にできる方法がある」といった課題を洗い出していきましょう。
フィードバックカルチャーを育てる
デザインをより良くするためには、素早いフィードバックが不可欠です。プロダクトのレビュー会やデザインレビューの場を設け、チーム内でオープンに意見交換をするカルチャーを作りましょう。心理的安全性が高い環境なら、若手や新規参画のメンバーでも遠慮なくアイデアを出せるようになります。
ビジネスゴールとの紐づけ
デザイン組織が評価されるためには、定量的な成果指標(KPI/KGIなど)と結びつける視点が重要です。たとえば「UI改善によるコンバージョン率の向上」や「モバイルアプリのアクティブユーザー増加」などの具体的な数字をもとに、デザイン施策の成果を示すと社内理解も進みやすくなります。
「デザインは飾りじゃない」と組織全体に浸透させるには、ビジネスインパクトを明確化するのが近道です。
まとめ
0→1の段階でデザイン組織を立ち上げる際に大切なのは、デザインの価値を正しく理解し、チーム全体で共有することです。その上で、プロダクトを支えるチーム構成を考え、早い段階からデザインシステムを運用しながら育てていくと、後々の拡張が楽になります。
技術スタックとしては、FigmaやStorybook、React + TypeScriptなどの組み合わせが多くのチームで採用されていますが、組織の文化やプロダクトの特性に合ったツールを選ぶことが一番大切です。
最初は試行錯誤の連続ですが、デザインの力でプロダクトが形になっていく過程はとてもエキサイティングです。
ぜひ、デザイナーのみなさんやマネジメント層の方々も、チームを巻き込みながら理想のデザイン組織づくりにチャレンジしてみてください。
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