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AWS/GCP/Azure環境のインフラエンジニア向けオンボーディング実践ガイド:セキュリティと可用性を高めるために
公開
2025-02-09
文章量
約2884字

Yard 編集部
Yardの編集部が、テック業界の最新トレンドや知見について発信します。
はじめまして!
クラウド環境でインフラを構築・運用するエンジニアの皆さん、もしくはこれから目指す皆さんに向けて、AWS/GCP/Azureといった主要クラウドの活用ポイントをまとめました。
この記事では、セキュリティと可用性を重視したオンボーディングに役立つ情報をお伝えします。
これからチームにジョインして新たに環境を触る方や、既存の運用をもっとスムーズにしたい方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
クラウドインフラの特徴を把握しよう
マルチクラウドが進むなか、それぞれのクラウドサービスには特徴やサービス構成が異なる部分が存在します。
オンボーディング初期にはまず、自分が扱うクラウドの特性を理解することが重要です。
- AWS:サービス数が多く、ドキュメントやコミュニティも充実。
- GCP:GoogleのAIやビッグデータ系サービスとの連携が強み。
- Azure:Microsoft製品との親和性が高く、企業向け機能が豊富。
各プラットフォームでのサービス利用料金モデルやリージョンとゾーンの考え方を正しく理解することが、セキュリティと可用性を高めるための基本となります。
セキュリティ観点で押さえておくべきポイント
セキュリティはインフラの要です。脅威は日々進化しているので、サービスを導入する際には常に最新の情報に目を配りましょう。
アクセス権限とIAM
- 最小権限の原則(Least Privilege):不要な権限を与えない、使用範囲を明確化する
- ロールベースのアクセス制御:ユーザーごとに個別ではなくロール単位で権限を設定することで、管理しやすくなる
ネットワークセキュリティ
- VPCやサブネットの構築:パブリックサブネットとプライベートサブネットを分離し、通信を制限
- セキュリティグループやファイアウォールのルール:インバウンド・アウトバウンドのトラフィックを最小限に絞る
- VPNやDirect Connect/ExpressRouteなどの専用回線:オンプレミスとの安全な接続を確保
ログと監視
- クラウドネイティブなログサービスの活用:AWSのCloudTrail、GCPのCloud Logging、Azure Monitorなど
- 不正アクセスや異常検知のアラート設定:ログを活用したリアルタイム検知はセキュリティの要
インシデント対応の準備
- インシデント対応マニュアル:起きてから慌てないよう、対応フローを事前に決めておく
- 障害が発生したときの連絡体制:社内だけでなく、クラウドサポートへの問い合わせ方法も明確に
可用性を高めるためのポイント
ダウンタイムや障害をいかに最小化するかは、顧客満足やサービス継続性に直結します。
クラウド特有の機能をうまく使いこなし、可用性を確保しましょう。
リージョンとアベイラビリティゾーン(AZ)の活用
- マルチAZ構成:重要なシステムは少なくとも2つ以上のAZをまたいで冗長化
- リージョンをまたいだマルチリージョン構成:災害対策(BCP)として極めて有効
オートスケーリング
- 需要に応じたリソース拡張・縮小:AWSのAuto Scaling、GCPのInstance Group、AzureのScale Setなど
- インスタンスタイプやサイズの適切な選択:リソースの過不足を避け、コストとパフォーマンスをバランスさせる
バックアップとリストアの設計
- スナップショットやバックアップポリシー:データベースなど重要データの定期的なバックアップ
- 復旧テスト:バックアップを取ってもリストア手順を確立していないと意味がない。定期的に演習する
オンボーディング時に把握しておきたいツール・サービス
クラウド環境では数多くのツールやサービスが存在します。オンボーディング初期にどのツールを使っているかを早めに把握し、学習コストを見積もりましょう。
インフラ構成管理ツール
- Terraform:マルチクラウド環境で特に人気。インフラのコード化(IaC)を統一的に行いやすい
- CloudFormation(AWS), Deployment Manager(GCP), ARM Templates(Azure):各プラットフォーム専用の構成管理ツール
CI/CDパイプライン
- GitHub ActionsやBitbucket Pipelinesなどの外部サービス
- AWS CodePipeline, Azure DevOps, Google Cloud Buildなどプラットフォーム固有のサービス
コンテナ・オーケストレーション
- Amazon EKS, Google GKE, Azure AKS:Kubernetesをマネージドで運用できるサービス
- ECS(AWS)やCloud Run(GCP)のような軽量コンテナサービスにも注目
チーム内コミュニケーションとドキュメント
オンボーディングでは、チームでのコミュニケーションと情報共有がとても重要です。ドキュメントが整備されていないと、いざというときに誰もが混乱しやすくなります。
ドキュメント整備
- WikiやConfluenceなどの情報共有ツールを活用
- TerraformやCloudFormationなどのコード自体をドキュメント化する考え方(IaC)
- 運用マニュアルのバージョン管理:Gitなどを使って定期的に更新
レビューとペア作業
- コードレビュー:インフラコードもアプリケーションコードと同様にレビューを行う
- ペアプロやペア運用:初心者と経験者がタッグを組んで作業することで、ナレッジ共有が進む
キャリア成長のためのアドバイス
オンボーディングは、エンジニアとしてステップアップするチャンスでもあります。マインドセットを整え、長期的な目線で学習を続けましょう。
学習リソースの活用
- 公式ドキュメントやチュートリアル:ベストプラクティスを学ぶ上で欠かせない
- オンライン学習プラットフォーム:Udemy、Courseraなどでクラウド関連コースを受講
- 認定資格:AWSやGCP、Azureそれぞれの資格取得はスキルの証明になる
コミュニティ参加
- 社内外の勉強会やカンファレンス:最新情報に触れ、メンターや仲間を見つけられる
- SNSやブログ:自身の学習内容を発信しながら、フィードバックをもらう
まとめ
クラウド環境でのインフラエンジニアとしてオンボーディングする際は、セキュリティと可用性を最優先に考えましょう。
具体的には、IAMをはじめとする権限管理や監視・ログの整備をしつつ、マルチAZ/マルチリージョンでの冗長化やオートスケーリングで可用性を確保することがポイントです。
その上で、チーム内でのドキュメント共有やコードレビューを通じて知見を積み重ねることが、成長と安定した運用のカギとなります。
クラウドサービスは日進月歩で新機能が追加され、運用の考え方も進化しています。
常に新しい情報を取り入れながら、自分なりのベストプラクティスを確立していく姿勢が、インフラエンジニアとして長く活躍するために必要です。
ぜひこの記事をきっかけに、より安全で高可用なクラウド環境づくりにチャレンジしてみてください。
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