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デジタルマーケターに必要なスキルセット:データドリブンな分析からグロースハックまで
公開
2025-02-07
文章量
約3668字
はじめに
「データをどう活用できるか」が、今のデジタルマーケティングの成否を決めると言っても過言ではありません。
直感や経験だけでなく、定量的なデータをベースに施策を打ち出せる“データドリブン”なマーケターは、企業の成長をリードする存在としてますます注目を集めています。
ここでは、データドリブンなデジタルマーケターを目指す方に向けて、押さえておきたいスキルセットをお伝えします。

データドリブン思考とは?
データドリブン思考とは、意思決定の際に感覚的な判断だけでなく、客観的なデータに基づいて戦略を組み立てるアプローチのことです。
たとえば、新しい広告キャンペーンを企画するときに「若年層にウケそうだから」という肌感だけを頼りにするのではなく、実際に過去のキャンペーンデータやユーザー行動データを分析したうえで、どの施策がより効果を期待できるかを客観的に評価する。これがデータドリブン思考の基本スタンスです。
データドリブンが注目される理由は、ユーザーのオンライン行動が多様化し、デジタル上で取得できる情報量が格段に増えたからです。
データを正しく使いこなせれば、たとえば以下のようなメリットが得られます。
- ユーザーの興味・関心をより正確に把握できる
- 投資対効果(ROI)を明確に測定しやすい
- テストや改善を繰り返しやすく、PDCAを高速回転させられる
もし「データはたくさんあるのに活かしきれていない」「ツール導入はしたものの使いこなせていない」という課題を感じているなら、まずはこのデータドリブン思考をしっかり身につけることが、遠回りのようで最短ルートになるはずです。
マーケティングアナリティクスの基礎
データドリブンの要となるのが、マーケティングアナリティクス(データ分析)です。具体的には以下のプロセスを意識するとスムーズです。
- 目的を明確にする
- 売上を上げたいのか、リード(見込み客)を増やしたいのか、ブランド認知を高めたいのか。分析の前に最終目標(KPI/KGI)を定義することで、闇雲な分析から解放されます。
- 必要なデータを収集する
- ウェブ解析ツール(Google Analyticsなど)からのデータ、SNSのインサイト情報、CRMに蓄積された顧客データなどを集めます。手動でのデータ集計はミスや手間が発生しやすいので、なるべく自動化を図りましょう。
- データを加工・可視化する
- データのクリーニング(異常値の除外やフォーマットの整形)、BIツールを使ったダッシュボード化などを行います。わかりやすい形で可視化することが、次のアクションにつなげるための鍵です。
- 分析とインサイト抽出
- 具体的な指標(CVR、CPA、CTR、LTVなど)を用いて、どこに改善の余地があるのかを探ります。何がボトルネックなのかを発見し、仮説を立てましょう。
- 施策の実行と検証
- 立てた仮説を検証するために施策を実行し、効果測定を行います。うまくいかない場合は、再度原因を分析してPDCAを回すのがポイントです。
これら一連の流れをスムーズに回し続けることで、デジタルマーケティングの精度はグングン向上していきます。
グロースハックの考え方
グロースハック(Growth Hack)とは、成長を最優先目標に掲げ、プロダクトやサービスの改善サイクルを高速で回し続ける手法です。マーケターだけでなく、エンジニアやデザイナー、データサイエンティストなど、多職種が一丸となって実行するケースが多いですね。
グロースハックの特徴は以下の通りです。
- データドリブンが前提:仮説を立てる際も、施策効果を評価する際も、必ずデータを活用します。ひらめきやセンスだけでなく「データに基づく予測と検証」を重視します。
- 小さな実験を素早く繰り返す:大胆なリニューアルや大規模施策に踏み切る前に、小さなA/Bテストや限定公開で検証を行い、成功が見えたものを拡張していきます。この小回りの良さがグロースハックの肝です。
- プロダクトやサービス自体を変える:広告やSEOなどの集客施策だけではなく、場合によってはプロダクトの機能やUI/UXの改善など、プロダクト自体を変えていくことで継続的な成長を実現します。
たとえば、ユーザー登録画面の項目数を減らしたらコンバージョン率が上がったとか、新機能を数名のユーザーに先行リリースしてアンケートを取り、改良を重ねてから本格公開するなど。こうした「小さく試してデータを確認し、すぐ改善する」サイクルが成長には欠かせません。
データ活用のためのツールとスキルセット
データドリブンやグロースハックを実践するには、ツール選びやそれを使いこなすスキルが重要です。代表的なツールと、その活用のポイントを押さえておきましょう。
Google Analytics(GA4)
ウェブサイトのアクセス解析ツールとして定番中の定番です。トラフィック経路やユーザー行動、コンバージョン経路の可視化などが可能。GA4ではイベントベースでデータが管理されるため、より柔軟な分析ができます。
- スキルポイント: イベント設定、セグメント分析、コンバージョン設定、レポート設計
BIツール(Tableau、Looker、Power BIなど)
大量のデータを一元管理し、ダッシュボード化して可視化するためのツールです。経営層やクライアントにも直感的にデータを説明できるので、意思決定がスムーズになります。
- スキルポイント: SQLの基礎知識、データモデリング、適切なグラフ選び
マーケティングオートメーション(Marketo、HubSpot、Pardotなど)
見込み客の育成(リードナーチャリング)やメール配信の自動化、スコアリングなどを行う仕組み。顧客の属性や行動データと紐づけてパーソナライズ施策を打つことで、より高いコンバージョン率を狙えます。
- スキルポイント: シナリオ設計、メール配信のテスト、フォーム連携、セグメンテーション
A/Bテストツール(Optimizely、Google Optimizeなど)
ランディングページや広告クリエイティブ、メール件名などを複数パターン用意し、どちらがより成果を出せるかをテストします。細かいUI要素の最適化から、より大きな施策の方向性検証まで幅広く活用できます。
- スキルポイント: テスト設計(仮説立案)、サンプルサイズの計算、結果の統計的有意性判断
さらに、これらのツールを使いこなすためには、最低限のプログラミング知識やエクセル(スプレッドシート)でのデータ処理能力、SQLを用いたデータ抽出スキルがあると一気に広がりが増します。ただ、いきなり高度なプログラミングを習得しようとするよりも、まずは触ってみる・小さなテストで結果を見てみることが大切です。現場での小さな成功や失敗が、スキルを身につける近道です。
データドリブンを実現するステップ
- 明確な目的とKPIを設定する
- 「売上を◯%伸ばす」「◯◯チャンネルからのリードを月△件獲得する」といった具体的な目標を設定します。KPIが曖昧だと、どのデータをどのように活用すべきかもブレてしまいます。
- データインフラを整備する
- ツールの導入やデータレイク/ウェアハウスの整備など、分析がしやすい環境を作ります。データがあちこちに散在していると、そもそも分析の手間が増えてしまい、うまく成果を出しにくくなります。
- 小さな実験から始める
- いきなり全体を変えるのではなく、特定のページや特定のユーザーセグメントに絞ってA/Bテストを行うなど、小さな範囲でスタートし、結果を見ながら拡大していきましょう。
- 結果をチームで共有する
- データドリブンを組織的に成功させるためには、分析結果をチーム内にわかりやすくシェアする文化が大切。BIツールのダッシュボードやレポートを使って、経営層や関連部署と情報をリアルタイムに共有する仕組みをつくっておくと、意思決定のスピードが上がります。
- PDCAを回し続ける
- マーケティングの世界は常に変化しています。施策が上手くいくときもあれば、想定外のところでつまずくこともあるでしょう。大事なのは、その都度データに戻って分析し、仮説をアップデートし続けること。これがデジタルマーケターにとっての“日常の習慣”になります。
まとめ
デジタルマーケターとしてキャリアを築くうえで、データドリブン思考やグロースハックの手法を身につけることは、もはや必須の時代になりました。
ツールやスキルは日々アップデートされ、データの活用範囲も広がっていますが、本質的に大切なのは「目的を明確にしたうえで必要なデータを正しく分析し、素早く改善に活かす」この一点です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、小さなステップを踏んでいけば必ず成果が見えてきます。
データを使って仮説を検証し、学びを得てまた次のアクションに活かす。
これを繰り返していけば、あなたも“データドリブン”なデジタルマーケターとして、より大きな成果を生み出せるはずです。
ぜひ一歩ずつ、楽しく取り組んでみてください。
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